004


「オラッお前ら席つけよ〜」

一時間目開始から早30分。
ようやくやって来た担任に慌ててかかる号令の声。



ハウリング





呼ぶまで待ってなさい、と言われたから待ってるけど別に待ってなくてもいいんじゃね?
だって中にはイケメンまみれで見た瞬間アレルギーでアナフィラキシーで
「ブツブツ言ってねーでさっさと入って来いっつの、なかなか面倒くせェ女だな」

逃げるタイミングを失い担任のなんとか先生に腕を掴まれる。

「やだキモいセクハラ性病水虫ぃぃぃ!」

足を踏ん張りながらもズルズルと教室内に引きずられる。あたしに注がれる好奇の視線。


「ほら、挨拶しなさい」
「……好きな言葉は因果応報」
「自己紹介はァ!?つーか何その情報!いらねェんだよ!」


どいつもコイツも人の頭バスバス叩きやがって!

「…嫌いなのはイケメンとボンボンな瀧川綾瀬でした」

「…あー、という訳でこの子今日からウチのクラスな。仲良くしてやれよ」


そんなこんなで適当に空いてる席を宛がわれ、一時間目の終了チャイムがすぐになり、転校生のセオリーのような取り囲みが行われた。

「ちょ、あたし芸能人みたい。そしてそこのお前気持ち悪いから近付くな」
「ブハッ、マヨネーズ臭いから近付くなってよ土方コノヤロー」
「初対面の女にそんな事言われたの初めてだぞ俺」
「そら初体験経験出来て良かったねあっち行ってよ、そこの腹黒そうな王子顔も」
「なんだとこのアマ…鼻フックきめて辱しめてやりますかィ」
「うぜーアル、お前らはあっちに行くヨロシ!」
「そうよ、逝きなさいゴリラ」
「あれ?お妙さんなんか誤変換が」
「死になさいゴリラ」



なんだか喧騒に包まれてやいのやいのと自己紹介をされたけど、マイクのハウリングのようだった。

ごめん、多分誰一人として覚えられてないや!


…ま、いっか。


左側は窓。
前はグラサン(シゴトガイド見てる)。
右は空席。
後ろはいない。…あ、なんか影薄いのがいた。


そんな席で割りと静かめ、昼寝には持ってこいだった。

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