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「わかった」

レヴィは警戒心が強くて心を開かず、言葉数も少なかったけど、先生の決めた事には何もかもをかけても実行している。もちろんリツカの護衛もだ。

「リツカちゃんはリビングにいます、レヴィは何か買って来て欲しい物ありますか」
「…いいや、ない」

レヴィはそう答えて、私の横を抜けて行った。私は慌てて飛び退いて道を開けた。レヴィがリビングに向かうのを見てから、私もガレージに向かう出口に行き、靴を履いてブブの待つ車に向かった。
先生は車を二台持っていて、その一つを私達が自由に使っていいと貸してくれていた。レヴィが使う時はナンバープレートが替わっているらしいけど、詳しくは聞かない事にしている。
リツカが来る前、私達はまるで赤の他人で、ほとんど会話もせずに自室にこもっている事が多かった。しかしリツカが来て、全員の呼び名が決まると、急にその距離は縮まった。それでも各々の事に踏み込めない境界線は、はっきりと残っていた。
先生が出勤に使っているシルバーのベンツはそこにはなく、残っている黒いアウディのセダンの方に、ブブは乗っていた。
私は逡巡して、立ち止まったけど、運転席を選んでドアを開けた。サタンに運転を頼むとナビゲーションする事で二度手間になってしまうだろう。それにサタンは運転が好きらしいけど、免許証を持っているかは怪しかった。
私が乗り込んですぐ、サタンはキャップを被り黒のダウンジャケットを着てガレージに現れた。後部座席に乗っているブブを見て、サタンは助手席に乗った。

「それで、どこ行くんだ」
「んーどこにしようかしら」
「はあ?買う物決まってんじゃねえのかよ」
「決まっているわよ、食材」

車を発進させて、サタンの質問に私は笑顔で答えた。

「アタシお肉食べたーい」
「お前は黙ってろ、うるせえな」
「ひっどーい!ばーか!インポ!」
「マジ殴るぞてめえ」
「殴ればー?」

舌を出して挑発するブブに、サタンは凄まじい形相で睨んだ。ブブは怯える様子もなく、やがて勝手に笑いだした。

「あはは!サタン顔面白ーい」
「…」


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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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