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相手の攻撃を待っているだけの防御に限界がある。
先生の言う“護る”が、本当はリツカの為でない事を私も理解していた。少し前に侵入者の墓の前でリツカに尋ねられた時に、私は既に気付いていた。
先生が護りたいのはやはり、私たち人を殺して来た人間だった。
しかし、もうひとつ気付いていた事があった。家にいる先生以外の人間が、既に自らの意思でリツカを護っている。私自身もそうであると気付いた今、先生以外は全員自分の立場を脅かす存在という以上に、リツカの母親への嫌悪を覚えている。

「私は明後日から南米にいる。2週間ここを空けるが、その間を特に君たちに任せる」
「わかった」
「いいよ、勿論全力で。でもお願いがあるんだけど、拳銃一丁置いて行ってくれない?カーボン製の軽いやつ。最初の奴が小規模だけど重火器で武装してたでしょ、多分素手に限界があると思う」

少年の提案はもっともだった。

「良いだろう、男三人に一丁ずつ置いていく」
「俺はいい」

男が言った。

「いいや、持つべきだ」
「持っていたくないのだが」

男は私の目を見て真摯にそう言った。

「何それ、今まで散々殺してんじゃないの?今さら怖いの?」
「銃を持つ事が怖いと思わないし、怖いから持ちたくないわけでもない。俺は死にたいと望む者しか殺さない」
「ベルは馬鹿だな、死にたいと望んでいるやつなんか実はいないって。偽善を通す為のベルの理念なんかで、リッカを危険にさらしたら僕がベルを殺すよ」

少年は心から冷たい表情でそう言った。男の表情からは何も読めなかったが、少年に何も言い返さなかった。

「三丁用意しておく」

私は病室を出て、理事長室に行って小切手を渡した。小切手の金額を見た理事長は、表情を変えまいと努力していたが、驚きの興奮を隠せずにいた。
私は婦長と同じ取引を済ませた理事長に、それ以上用はなく、直ぐにそこを離れた。そして一旦外に出て、三度目の電話を先生にかけた。先生は直ぐに出た。

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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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