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少年が私たちに合流したのはそれから直ぐだった。少年は横に看護師を連れていた。看護師の被る帽子から、婦長である事がわかった。この病院は古めかしい姿勢を取っている病院らしい。
婦長だが、女は若かった。少なくとも私よりは年下か、同じくらいに見えた。

「話があるんじゃないかと思って連れて来た。それと、これは僕らの先生から」

少年は茶封筒を私に手渡した。
厚みのあるその中身を確認すると、札束と、小切手だった。小切手には札束と桁違いの金額が書かれていた。
私は婦長に座るように言った。個室のこの病室には質素なテーブルとソファーがあった。婦長は私たちの空気に何かを感じたのか、緊張した様子でソファーに座った。

「あなたと契約したい」
「えっ…?」
「大きな犯罪に巻き込むつもりはないので、まず安心してもらいたい」

私は封筒から小切手を残して札束を取り出した。

「こっ…困ります」
「まずこの少女のカルテは燃やしてもらい、そしてどんな肩書きを名乗る人間にも、ここに神経毒の中毒で運ばれた患者はいないと言ってもらう。そしてそれを他の看護師と医師にも従わせろ」
「…何故…」
「質問はするな。病院のトップとは話をつけているが、わざわざ他の上司や同僚にこの事を漏らしてはならない。通報も必要はない。私たちはこの少女を護りたいだけなのをわかってもらいたい」

婦長は困惑した表情のままベッドをちらりと見た。その目に、あの美しい少女が写っているに違いない。それにこの金だ。

「…わかりました、お父様」

婦長はぎこちないながら、私がリツカの父親である事を認めた。婦長は札束を上着を隠しながら、病室を出ていった。

「約束破ったら殺すけどねー、それ言ったほうが良いかな?」
「ルシファーは何と言っていた?」

少年はリツカのベッドに座って、無事な方の手を握って撫でた。ベッド脇のパイプ椅子に座っている男が、先生の病院を経由した少年に尋ねた。

「ルシファー怒ってたよ。ルシファーってキレても笑顔なんだよ、知ってる?逆に怖いからね」
「先生はこれをどうするつもりだと?」
「当たり前だけどこの病室を24時間誰かが護っておく事、ルシファーは近所の病院で顔が知れていて来れない、だから指揮をレヴィに任せるって事、ルシファーはどうやって家に入られたかを探るって事、あともう護っているだけで護れないから考えるって事を言ってたよ」


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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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