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先生はあの女を勤務している病院で見付けた。あの女が殺した男は、あの病院に近いところにいたのだろう。あの女と金髪の男は同じ理由で先生の病院の近くには寄らない。
腕の中のリツカは額に脂汗を滲ませ、荒い呼吸の合間に痛みに耐えているような小さい声を上げていた。私の服もリツカのキャミソールも血塗れになっていた。
玄関を出ると回されていたた車から男が降りるところだった。後部座席にはシーツと膝掛けが用意されていた。私はリツカを男に渡し、運転席に回った。男はリツカを後部座席に横に乗せ、自分をリツカの足元にねじ込んだ。
私は腰の銃を助手席に投げて乗り、シートベルトもせずにギアを入れ、アクセルを踏み込んだ。

「リボンをほどいて、布か何かで患部を押さえて止血していろ」

私が男に言うと、男は言う通りにリボンをほどき、用意していたシーツでリツカの手を押さえた。リツカはその痛みに、抑える事もなく声を上げた。
先生の私有地である竹林を出て、舗装された道に出るまで待ち、私は片手でポケットの携帯を取り出して、先生にかけた。しかし出ない。施術中かもしれない。

「…ベ…ベル…」

後部座席をバックミラーで見ると、血の気を無くしたリツカが息も絶え絶えに男の名前を呼んだ。息がしにくそうに荒れて行く。神経毒かもしれない。このままでは息が止まる。
端から気にするつもりは無かったが、道路交通法を100は違反しながら私は飛ばした。反対車線を走ると、煩くクラクションが鳴り響いた。

「リツカっ」

男がリツカを呼んだ。再びバックミラーで後部座席を見るとぐったりしたリツカの頭が、車の動きに合わせてぐらついていた。意識がない。

「息はしてるか」
「ギリギリしているが…神経毒か?」
「あと5分で着く、呼吸が止まったら心臓が止まる前に人工呼吸していろ」

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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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