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リビングに寄ってから私の部屋に来たリツカは、プレートにおかずを盛り、フォークとそれだけを持って入って来た。私が80回目の腹筋が終わった時だった。逆さまにぶら下がる私を見て、リツカは一瞬だけ驚きを覗かせた。

「ジムでやればいいのに」
「…」

この家には小さいがジムがある。
先生が自分用にと設えたが、使う時間もない程に彼は忙しい人だった。

「あの部屋、無駄に色々あったけど」
「…知っている」
「使ってるのマモンとサタンだけだよ」

だから使わないのだ。物は出来る限り共有したくない。所有権は明確であるべきで、借用には契約が必要だった。曖昧はどんな事であっても命取りだ。割り切らねば、いざというときの決断が鈍ってしまう。この家で共有するのは車だけでも、私は困っているのだ。
それに今までだって一度もジムを必要とした事は無かった。何処にでもある物で、というより何も無かろうと身体は鍛える事が出来る。
リツカは椅子に膝を立てて座り、私の日課を眺めながらプレートを突ついていた。良い教育を受けたとは思えない、行儀の悪い姿だった。
日課のトレーニングメニューが終わり、軽く汗をかいているので、シャワーを浴びるつもりだった。

「一緒に入る」

シャワーを浴びる旨を伝えると、リツカは平然とした顔でそう言った。意味がわからない。

「リビングに行っていろ」
「…」

リツカはとたんに、表現のしようがない色の顔をした。怒りながらそれを諦め、とてつもない程の憂いを見せた。その意味は掴めなかった。
リビングに戻るリツカを確かに送り届け、テレビゲームをしている男にリツカを預けた。わざわざ確かめる私を、リツカは疎ましそうにした。
リツカを過保護にする事が彼女の為かは知らないが、それが先生の願いであったなら、それは私の為だった。
リツカは男が遊ぶ様を後ろから見ていた。リツカがゲームをしているところを、一度も見た事が無かった。

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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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