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リツカは何故か少し拗ねたふうに言った。女王様は女王様を謳歌しているというわけではないらしい。もしかしたらリツカは物凄く純粋なのかもしれない。そう生まれたから、女王様のように振る舞うけど、その肌のように全く穢れを知らないのかもしれない。
私は意識せず笑っていた。

「リツカちゃんが好きだからよ」

そう言うと、リツカは今日三度目の笑顔を見せた。その時、私はやっとマモンの気持ちがわかった気がした。
リツカは綺麗だ。外見も含めて、全てが美しく穢れがなく。
マモンが自分をどう思っているかは知らないけれど、少なくとも私はリツカとはかけ離れた、汚れた人間だった。人を殺め、その汚い血で汚れた手を今でも夢に見る。
私が殺した麻薬王は、どこまでも醜く汚い男だった。そんな男にすらお金を持っているというだけで媚びた私は、どこまでも汚い。
そんな私が男だったとして、その美しさの欠片もない性を晒して、リツカを穢れさす事なんか出来るだろうか。そこまで、身を堕とす事が、出来るだろうか。
急に泣きそうになった私を残してリツカは脱衣場に向かって歩きながら、いい加減リツカちゃんって呼ぶのやめて、と言った。

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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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