P 107/151


しかしリツカはそれを聞いて、何故か寂しそうに、そう、とだけ呟いた。まだ疑っているのだろうか?

「リツカちゃんは誰も好きにならないの?」
「違うけど」
「…けど?」
「マモンを好きなわけじゃない」

そうなんだ。
好きだと触れ回ってるマモンに少しだけ優越感がわいた。

「だったらベルは?いつも付いて回ってるでしょう」
「ベルは…」

リツカは急に口ごもった。それはもうほとんど肯定しているような物だったので、私はモヤッと嫌な気分が立ち込めた。
しかしリツカは肯定しなかった。

「ベルは私の唯一愛してる人に似てる」
「えっ…」
「おしまい、もうこの話は止めて」

今夜一番気になる発言をしたところで、リツカは私の発言を制止した。私は逆らう気もなく、やむなく黙った。
黙ってリツカを洗うのを続けている内、がらがらになってしまった頭が暇をして、考え事を始めた。
マモンは何故、リツカに疑われるような行動を取るのだろうか。サタンから聞いた話によると、マモンはリツカにキスしていたらしい。その時のリツカは全く反応を返さず、会話の続きをしたと聞いて、リツカらしいと思ったと同時に抜け駆けのマモンにムッとした。とにかく、そんな事もしなくなったらしい。笑顔を見て、どうしてそれ以上が嫌になるんだろうか…。
髪の毛を洗い流し終わって、私はリツカの髪を絞ってから上に捻って結い上げた。それは終わりの合図で、リツカは湯船から立ち上がった。シャワーを取ってかかり湯をしている間、リツカはずっと私に背を向けていた。
その後ろ姿は何度見ても、とてつもなく綺麗だった。それに見とれていると、リツカはシャワーを置いて振り返った。

「本当に何も聞かないんだね」
「質問は終わりなんでしょう?」
「言ってみただけなのに、なんで私の言う事なんかきくの」


←* | top | #→

Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -