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私はリツカのその発言に、二つ驚いた事があった。
「待ってリツカちゃん、マモンはさっき襲わない自信がないと言って、外にいたのよ?」
リツカがマモンに好かれなくなったと勘違いしている事と、マモンに好かれたいと思っているらしい事に、私は驚いた。
「そうなの?」
「リツカちゃんの女としての魅力が、笑顔で消える訳がないわよ」
こんな会話をしていると、リツカと恋ばなでもしているようだった。リツカが誰か一人の物になるなんて、断固反対だけど、リツカの好きな人の話には興味が沸いた。
「リツカちゃんはマモンの事が好きなの?」
にやけてしまう口を隠せずに私が聞くと、リツカは黙って私を見た。
「好きじゃないって言ったら、アスモはどう思うの」
全く予想外の発言だった。
「好きじゃないの?」
「そう言ったらどう思うか聞いたの」
「だったら何故、マモンに好かれたいのか聞きたいと、そう思うわよ」
「誰からだって好かれたいのは、おかしい?」
そう言われると、おかしくはない。どんな人間にだって、嫌われるよりかは好かれたい。誰だってそうのはずだ。
そう思うのが、何にでも無頓着なリツカで、それにあまりに思い詰めたふうだったので、おかしかったのだ。
「リツカちゃんはそこにいるだけで、みんなに好かれるわよ。心配しなくてもみんな好きよ」
「どうして」
「リツカちゃんより美人な人なんか、他にいないもの」
話している間に溜まったお湯がリツカの鎖骨あたりまでに上っていた。お湯で逆上せたのかいつもより赤い頬も、湯気にゆらむ輪郭も、首や目元に伝う水滴も、全てがこれ以上ないほどに女の色香を漂わせていて、女の私ですら軽くムラムラする。こんな姿、男の人が見て黙ってられるわけがない。
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▽ Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN