P 105/151
私は謎がとけて納得したけど、リツカは逆に何か考えだした。
「どうかした?」
「マモン、一度私とヤろうとした事あったのに…」
何をやろうとしたか、あえて聞きはしなかった。続きが気になった。
「笑ってから、私に抱き締める以上の事をしなくなった。さっきも、だからマモンをわざと誘ってみたのに、やっぱり断った。断るってわかってたからマモンに言ったんだけど…」
わかってたのか、と私は驚いた。という事はリツカはさっき違う、と言ったけど、きっと本当は一人になりたかったのだろう。そういえばここのところずっと誰かが隣にいるのだ。嫌になっても仕方ない。
リツカのそんな想いが少し可哀想になった。もうちょっと遅く来てあげれば良かったとも思った。けれどそれでリツカが狙われたりしたら…。
「アスモ」
私が別の事を思って違う方の腕を洗っていると、リツカが呼んだ。私が顔を上げてみると、リツカは笑顔で私を見ていた。私はあんまりにびっくりして、手からスポンジが滑り落ちた。
そしてすぐにリツカは笑顔を消した。
「何か変わった?」
一瞬、リツカが何を言っているかわからなかった。そしてさっき言っていたマモンの話を思い出した。
マモンはリツカの笑顔を見てから、変わったらしい。リツカはそれを何故か気にしている。
「笑顔はとっても可愛いわよ…でも何も。何を気にしてるの?」
「アスモは女だからかな、マモンは変わった。もう私を女とは見ない、それ以外で好かれるはずもないのに」
←* | top | #→
▽ Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN