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「中と外で別の人が私を見張る必要なんかない、一人でいい」
「や…」
「別に私一人でもいいけど…」

リツカは先生を見た。先生は笑顔で、駄目だよ、と言った。

「ね」

私はリツカの無表情な「ね」が可愛くて、つい反論を忘れた。そしてリツカはマモンを引っ張ってリビングを出て行った。マモンは困惑しきった顔をしていたが、反論はしなかった。
先生はクスクス笑い、私が食べていたケーキを盗み食いしているブブはそれに対して何笑ってるの?と聞いた。レヴィは特に何の反応もせずにコーヒーをすすりながらテレビで流れるニュースを見ていて、サタンは口を開けたまま眉間に皺を寄せていた。
この家のルールは先生に一任している。その先生が笑うのなら、誰にだって止める理由なんか無いのだけど、私は迷った。男女が一緒にお風呂なんて、そんなの…。リツカに誰かが触るなんて、私自身は嫌だった。
私がキッチンで一人悶々としていると、ソファーに座っていたベルが静かに立ち上がって、キッチンに来た。

「俺がやります、行って」

ベルはほとんど呆れ顔で言った。私は微笑んで、エプロンを渡た。ベルの呆れはリツカに対してだろう。それでもベルだってリツカがマモンと風呂なんて気に入らなかったんじゃないかと思った。共感を覚え、私は風呂場に向かった。
しかし私の予測に反して、マモンは脱衣場の外に座っていた。私は少し驚いて、駆け付けた私を見上げるマモンに声をかけた。

「入らなかったの?」
「襲わない自信ないもん。リッカは襲われてもいいって思ってるみたいだけど、僕はやだ」

マモンが何を耐えているのかわからなかったけど、リツカが襲われても構わないと思っている事は頷けた。リツカは、大抵の事を無表情に飲み込む。なのに変なところで不機嫌になったりするのだ。喜んでいたり楽しんでいたりする事もわからない。無表情な裏に、何を思っているかわからなくて、何故か放っておく事が出来なかった。


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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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