P 98/151


私はそれを見た瞬間、自分が盗み聞きをしていた事を忘れて叫んでいた。

「その子に触らないで!」

突然の声に驚いた二人が、表情を凍らせて私を見た事で、私は我に帰った。慌てて口を抑えて二人に笑顔を見せた。

「ごめんなさい、大声出して。二人が居ないから探してたのよ。リツカちゃん、タルト買って来たわよ」
「…そう…わかった」

レヴィはリツカから手を離し、二人は家の裏口に向かって歩き始めた。
私は自分を落ち着かせる為に息を深くした。ここはあの家ではない、ここにいる男は私も、別の女の子も傷付けたりしない。そう思い、私は落ち着いた。リツカがリビングに戻る、私が晩御飯を作らないと。
私は部屋を出ようとドアに寄った。しかし私が手をかけるより先にドアノブが回り、ドアが開いた。一瞬ブブではないのかと予測した私は、入って来たのが部屋の主、マモンだったので、びくついて固まってしまった。
普段、自分の男性への恐怖は忘れているつもりなのに、少しでも男の恐ろしさを思い出す事があると、また忘れるまで男という生き物全員が怖くなってしまう。
その為、自分より背も低いし子供のようなマモンですら、怖くて仕方がない。

「僕の部屋で何してるのアスモ」
「あ…」
「別にいいけどリッカ知らない?」
「リ、リビングにいるわよ」
「え?いなかったよ?」
「ごめんなさい、い、今ならいると思うわ」
「何で謝るの?どうでもいいけど、部屋に入っていい?」

マモンが部屋に入ろうとしたので、入口に立って塞いでいた私は慌ててて飛び退いた。マモンはその私に今さら大して驚きもせずに、ソファーに肩からかけていた鞄をおろした。
私は何も言わずに部屋を出て急いでリビングに行った。マモンが後ろにいるようで、二回振り返ったけど、マモンはそこにいなかった。


←* | top | #→

Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -