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呆然と口を開けている舞良を見て、ようやく恋は表情を変えて眉を寄せた。

「…俺はさー、お前嫌いなんだよね」
「はあ…」

それは随分前から知っている事実だった。
トレイを受け取った恋はそのまま部屋へ入った。
ドアを閉じる前に恋は舞良を振り返った。

「けど、何で嫌いなのかはもうわかんなくなった」

ドアが閉まると同時に今度は舞良が眉を寄せた。やっぱり恋がオカシイ。

何が言いたいのかはよく分からなかったが、悪意のない言葉に激しく違和感を感じた。

悶々としながら舞良は洗濯をしようと再び一階に降りた。

階段が残り数段という辺りで朝御飯中の愛が舞良に声をかけた。

「なんだ、あれはお前の朝食かと思った。レンのか」
「はい」
「レンの様子はどうだった」
「…少し…変です」

愛は少し箸を止めて考えているようだったが、その後何も言わなかったので舞良は洗濯室に向かって洗濯をした。

洗濯をしている間にこっそり家政婦の部屋を通ってキッチンに行き、シリアルを取って洗濯室で朝食を摂る事にした。

抜き足差し足といった感じの犯行だったがその必要はなく、愛はリビングから居なくなっていた。


真新しい乾燥機に洗濯物を積めて二階に行くと、恋の部屋から愛が出てくるところだった。

何を話していたのかわからないが、笑いながら出てくる愛を、恋も笑いながらドアの前で見送っていた。


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Dog-ear ??
CINDERELLA STORY






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