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恋は昨晩の晩御飯を食べず、帰って来た後からほとんど部屋を出ておらず、舞良は恋を死なせない為に朝食を用意した。
今まで部屋に持って来いと頼まれて持って来た事はあったが、舞良が自主的に持って来た事がなかったので怒られないかと怯えながらのチャレンジだった。
しばらくの間があったあと、ドアが開いて細身のスウェットを着た恋が無表情に出てきた。
舞良を呆と見て、目を覚ますかのように瞬きを何度かした。
不愉快そうな顔をしない事が逆に、大丈夫かこの人、という気にさせた。
「…何」
「あ…朝食です、レン兄さん昨日晩御飯食べられ無かったので…」
「ああ…もう朝か」
朝かという事はずっと起きていたのだろうか。
何をしていたのかは知らないが、恋の心理状況は普通に思えなかった。
恋は無表情のままにトレイを受け取った。
「サンキュー」
その言葉を聞いて、舞良はいよいよ本格的に怖くなった。
恋がお礼を言うなんてどうかしている。
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CINDERELLA STORY