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顔を見せるなと言われていた為、三階から物音がしなくなった夜中のうちに舞良が作った朝ごはんのポトフは悲惨な姿で流しに棄てられていた。
窓から清子の出勤を確認して降りたキッチンで起きている悲劇に舞良は呆然とした。
「おい、朝食はどうした」
放心して流しを見つめていた舞良は物音に気付かず、すぐ横で喋った愛の声で我にかえった。
「っあ、すみません、今すぐ用意します」
愛は流しを見て状況を理解した上で口角を上げて笑った。
「母さんか…お前、何した?」
「…怒らせ…ました」
「…。早く朝飯作れ、呆っとするな」
舞良は棄てられていたポトフを片付けて、二人分の朝食を急いで用意した。
舞良が作っている間、愛はリビングのソファーに座ってテレビを見ていた。
愛に朝食を出したあと、少し悩んだが残りの朝食をトレイに乗せて二階に上がった。
バランスを取って片手でトレイを持ち、息を整え緊張しながら恋の部屋のドアをノックした。
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CINDERELLA STORY