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会場からは興奮した歓声が上がり、楽しくてしょうがない顔の恋は片手で響を抱き、もう一方の手を見物客達に見える様にピースサインにした。

歓声は更に上がり恋が、俺カッコいいっしょー!と会場に聞くと、カッコいいー!という声が反って来た。

舞良にはここが何の会場なのか、段々わからなくなっていた。

「ナリちゃん…いやいや、俺のヒィアンセナリ?」

恋の首元から離れても、響は恋の胸と腕に手を置いて、引っ付いたままだった。
恋のとぼけた声に響は泣き顔で笑った。

「何、レンくん」
「俺の事はダスティンホフマンと呼んでいいよー?」
「遠慮するわ」
「この状況は俺の予想だとキスすべきだと思うんだけど、するー?」

二人の声はマイクを通してまだ聞こえていた。

会場のおそらく恋の友達である男の声でキスコールが上がり、それを囃し立てた。

響は口を大きく開けてその発言を笑った。

「するわけ無いでしょ、レンくんバ…」

おそらく馬鹿と言いたかったであろう響の発言は、恋の突然のキスに飲み込まれた。

会場の歓声はホテルの上階に泊まっているであろう宿泊客が、飛び上がるのではないかという程に巨大な物だった。

宗次郎は眉を寄せ、愛は口を押さえて笑いを堪えていた。
清子は大勢と一緒に興奮した笑顔で拍手した。

響は一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに口を緩ませて、恋の頭に腕をまわし絡み付いた。

舞良が見てるのに恥ずかしくなり、響達から視線を外すと、同じように視線を外した朱里と目が合った。

何故かよくわからないが、響と恋のキスを見るより恥ずかしくなって直ぐに視線を足に落とした。


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Dog-ear ??
CINDERELLA STORY






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