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「アカリ、今晩は」
後ろから声をかけられ、アカリはきょとんとして振り返った。
声をかけたのはどのクラスかはわからないが、同じ学年の女子生徒で朱里の友達だった
。横には舞良と同じクラスの男子生徒が付いていた。
舞良はぼんやり、遠くからでよくこれが朱里だとわかるなと感心した。
いつもおろしている髪を綺麗にお団子にまとめていて、後ろからじゃ全く想像出来ないと思うのに。
「それで、この方が言ってた大学生の方?」
朱里の友達の発言にあまりに脈絡を感じ無かったので、この方と言った時に微笑みながら品定めするような目線で自分を見た事に、舞良は間抜けな顔をしてしまった。
ただ、その真相を聞くよりも先にしなくてはいけない事が発生した。
前方から双子を引き連れた清子がこっちに向かっているのが見えたのだ。
幸い清子が視線を向けて挨拶をしようと寄る相手は、何メートルか離れているし、舞良の方向とは少しずれていた。
しかしこんな近距離でいる訳にいかない…。
舞良が三人から目を離さずに朱里に口を開きかけた時、恋が舞良の視線に気付いて舞良を見た。
お互い視線が合ったまま固まっり、恋が片眉を上げて驚いた瞬間、自分が舞良であるとバレた事を確信した。
知良を知る者には必然の結果だった。
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CINDERELLA STORY