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「違うのシホ、それが…」
「赤羽さん、ごめん、ちょっと来て」
「えっ…!」
友達に何か弁解をしようとした朱里の手首を掴んで、舞良は清子達から全力で離れた。
バレたのが恋だったのは幸いだった。
響に協力したくらいだから舞良が来る事を知っていた筈だ。清子に言ったりしないだろう。
人混みが邪魔で走る事は出来なかったが、人の間を縫ってテラスに出られる道を見つけた。
朱里の手を引いたままテラスに出ると、後ろで閉まったガラス戸越しに音楽が遠く聞こえた。
テラスには何組かの男女がいて、ベンチに座って話していたりしていた。
舞良は我に返り、突然手を引いて逃げるなんてと思い、謝ろうと朱里の方を振り返った。
「ごめんなさい!」
何故か謝られたのは舞良だった。
さっきの大学生が何とかって話だなと思い、続きが気になったので、朱里の勘違いを指摘するのは後にした。
謝るような事が、何かあるのだろうか…?
「メールでパーティーに一緒に行く相手がいないって話してた時、本当はいたの。母が知り合いの息子さんをどうかって。
その人が嫌だったわけではないんだけど、私はあなたと行きたかったから…」
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CINDERELLA STORY