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朱里は招待状を取り出す為に一度離した手を、今度は舞良の肘の辺りに回した。
もしかしたらフォーマル慣れしていない舞良に気付いて、自ら動こうと気を使っているのかもしれない。
舞良は情けなくなったが、そんな事に落ち込む暇もなく、緊張がどんどん増していくパーティーの中に突き進むしかなかった。
会場では当たり前だが全員マスクをしていた。
誰なのかわかる人もいれば、マスクで全くわからなくなっている人もいた。
しかも招待客の内、三分の二は大人で、知らない人ばかりだった。
舞良は人混みが苦手な為に自意識過剰になっているだけかもしれないが、やたら視線を感じた。
視線を感じる方を緊張しながら見ると、必ず自分を見ている人と視線が合って、相手はそうすると微笑むのだ。
悪い方に自意識過剰な舞良は、かなり不安になり、自分の格好が変なのではないかと頭でぐるぐると混乱した。
響や美歌の誉め言葉はお世辞で、自分は凄く浮いてるのでは。
「…どうかしたの?苦い顔をしてるよ」
「俺何か変かな…さっきから凄く見られてる気がするんだけど…自意識過剰…?」
「みんなは見てるけど、変じゃないよ」
「何でだろう、どうすれば…」
朱里は慌てている舞良を見てクスクス笑った。
その様があまりに可愛いので、他人の視線の事が一気に頭から飛んで行った。
自分のもやしっこ精神も、朱里を笑わせる為にあるなら文句はなかった。
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CINDERELLA STORY