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舞良は無意識の自分の行動にかなり気が動転して、さらに朱里がそこへ手を乗せてくれた事に頭が熱くなり、この手をどうしたらいいんだろう!とパニックになった。
自分から手を出したくせに、そこでフリーズした舞良を見て朱里は微笑み、舞良の手を握った。
「行こう?」
舞良はしおらしい朱里の微笑みに、最大級の幸福を感じた。
一時間前まで、この手に朱里の手を取る事が叶わないと絶望したのに…。
舞良は助けてくれた小さい魔法使いに、心から感謝した。
ただ、社交界にウブな自分に少しでもエスコートを指示してくれれば良かったのにと、魔法使いのささやかなミスを非難した。
舞良は何も出来ずに朱里の進む方に向かった。
すぐに会場がある扉にたどり着いた。
二面開きの扉の前には制服姿のドアマンがいて、朱里はハンドバッグから招待状を取り出した。
「ようこそ、赤羽様」
ドアマンは招待状を確認すると笑顔で二人にお辞儀をしてドアを開けた。
中は舞良の予想より遥かに人で溢れていて、話し声とオーケストラの伴奏が会場を包んでいた。
艶やかに着飾った人達は立ち止まって話しをしていたり、誰かを探して歩いていた。
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CINDERELLA STORY