「やだあっロー…!!!」
「****っ…」

遠くなっていくローに****は手を伸ばしたがその手は彼に触れられぬ距離にあり、ぼんやりと宙に浮いた。



「頭!!今日は最高の上玉ですね!!」

大きな、お世辞にも綺麗とは言えない倉庫の中―わいわいと騒ぎ酒を楽しむ街外れののごろつき達。****は腕を天井から吊され身動きが取れずに居た。露出の多い夜着は生地も薄く身体の線をはっきりと浮かび上がらせていて男達が舐めるように彼女のその様を見つめている。恐怖で顔を歪めていると男が一人こちらに近寄ってきた。

「今夜は楽しめそうだなあ?」

下品な笑みを浮かべた頭とおもわれる男が****のすらりと伸びた白い足をなぞってきたので嫌悪感を覚え男を睨み付けるがその態度が勘に触ったらしく、****は顎を持ち上げられ酒臭い息をかけられた。

「……!」
「自分がどーゆー身分なのかわかってねえみたいだな…後でゆっくりいただくつもりだったがまあいい。こいつらの前でってーのも悪くねえな。」
「……!!!」

ひっく、と喉を鳴らすと男は****の柔らかい胸をぐにゅっと掴んだ。咄嗟のことに、思わず声が漏れてしまい慌てて口をつぐむがそれは男に聞こえていたらしく、にやにやしながら胸を揉んでいく。

「っ……」
「なんだあ?感じてんのか?」
「そんなわけないじゃないっ…」
口では強がるが、ローによって愛される悦びを知っている****の身体は、彼女の心を飛び越えて芯に熱をともしていく。やがて男の手が下に下がりスカートの中に差し入れられた。

「いやっやめて!!!」
「お嬢ちゃん…嘘は言っちゃいけねえなあ?」

抵抗する****の悲鳴も虚しく、くちゅっという音が下着の中から聞こえ静まり返る室内に響く。信じられないといった表情で****は頬を真っ赤に染めたが、彼女の心中など関係なく見ている連中も笑いながら野次を飛ばしていた。

「身体は正直ってことよ。」
「いやあっ…ロー……!!!!」

大好きな彼の姿が脳裏に浮かぶ。自信満々な彼がためらいがちに触れる瞬間が、彼の冷たい温度が、彼の甘い囁きが、全てが恋しい。目の前のこんな男に身体をいいように弄ばれるなど、****にとっては地獄に等しかった。しかしそれも抵抗も虚しくぐにゅり、と太い指が腟にねじ込まれたので悲鳴をあげてギュッと目を瞑る。―もう駄目だと思った瞬間、突然倉庫の扉があき、街灯の灯りと倉庫の灯りに照らされて見覚えのある男が立っていた。その男の姿に、****は駆け出したい気持ちでいっぱいになり嬉しそうに安堵の声を上げる。

「……ロー!!!!」
「なんだあ?さっきぼろぼろになった奴じゃねえか、またやられにきたのか?」

はははっと倉庫内に笑いが起きるが先程とは違ったいつものロー、いや、いつもよりも鋭い目をした彼はにやりと笑い、能力を使う構えをとった。

「―気を楽にしろ。」





ものの数秒であっという間に男達を片付けたローがふらふらしながら****の元に近寄り、刀でロープをざくっと切ってやると****は泣きながらおもいっきり抱きついた。腕に力が入らず彼女をうまく支えられないローは****と一緒にそのまま床に倒れこんでしまう。

「ローっ…」
「悪い、****。遅くなったな。」
「ううん、ごめんなさい………」

寒さからなのか、恐怖から解放された安堵からなのか、震える****の頬にローは優しく触れる。その時、触れた手がいつもより数段に熱を持っていることに****は気が付き、自分がこんなに彼に迷惑を掛けてしまった発端を思い出した。

「…ごめんね、熱上がったみたいだね…」
「これくらい寝てれば治る。それよりもこんな夜に一人で、しかもそんな格好で出歩くな。襲えと言ってるのと同じだ。」
「……ごめんなさい。」

熱が出たローを心配した****は薬がきれていることに気が付き、眠っている彼はもちろんクルーにも何も告げず船を降り街に出た。しかし風邪を引いているとはいえ気配には敏感なロー。自分の部屋に****の気配を感じず目を覚ませば、船から出ていく姿が見え慌てて追いかけてきたのだ。しかし、絡まれている彼女を熱のせいで身体が思うように動かず最初は助けることができなかった。

「…ロー?」
「お前がいないって気が付いたとき、心臓が止まりそうだった。」
「…。」
「あんまり心配かけるな。」
「…ごめんね、ロー。」

抱き締められた****は彼の背中に手を回し、温かい体温に瞳を閉じる。すると突然ふわりと身体が宙に浮いたので驚いて目を開けると熱で頬を赤くしたローが自分を抱き抱えていた。

「?!///」
「げほっ…帰るぞ****。」
「じ、自分で歩けるよ!」
「駄目だ。放っておくとどこに行くかわからないからなお前は。それに…」

ボソッと耳元に響いた言葉に、****は言葉を詰まらせ顔を赤くした。その反応に満足したローは機嫌を良くして歩きだす。

「ローの馬鹿///」

真っ赤になって恨めしげにローを見上げるが、抜けていく風と彼の体温が心地よく****は静かに目を閉じた。


(着いたぞ****。)
(ん………?って、何で脱いでるの?!)
(愚問だな、これからナニを…)
(風邪うつるじゃない!!///)
(船長の俺が臥せるよりお前が臥せった方がいいだろ。)
(そ、それは…)
(観念しろ。)
(………///)



ネツ帯びるヨル


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