南蘭



「…エロみ沢」

「…いきなりなんだよ」

南沢さんが転校してから、会う時間がだんだん減っていったから。


八つ当たりみたいなことをしてみた。


「霧野?」

「南沢さんのバカ」

「ったく、お前はなんなんだよ」


ふい、と南沢さんに背中を向けて座っていたら、強制的に南沢さんの方に向けられた。


「言ってみろよ、霧野」

「…最近ぜんぜん会ってくれなかったじゃないですか」


1週間くらいなら、我慢もできたけど。

1か月も我慢できるほど、俺は大人じゃない。



「……霧野、」

「…何ですか、南沢さ…」


唇に、慣れた感覚。

鼻がくっつきそうな距離にある南沢さんの顔。

ああ、キスされたんだ。


「…ん、」


短めのキスをして唇を離したあと、南沢さんに抱きしめられた。


「俺も寂しかったから…今日はたっぷり遊んでやる」

不敵な笑みを浮かべてそう言った南沢さんに、つい言葉を漏らした。


「…エロみ沢」

「…懲りないな、お前」






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