天弥見聞録 | ナノ


【イース セルセタ感想】アドル≠フ物語。

本日クリア。難易度EASYでプレイ時間は20時間ほどだったけど、アドルの事を知るには十分すぎた内容だったので概ね満足。
[、\の後にプレイするとどうしてもシステム的な面で「そうか、◯◯出来ないのかー!」とか「これくらいの段差飛び越えてくれ〜!」とか思ってしまうし、グルーダやガディス、バミーのあっさりとした感じには少し物足りなさもあったけど、ダメというわけでは勿論ない。寧ろ、この感覚が久々だったので「時代を遡ってるんだな〜」と思えて、これはこれで良いとも言える。例えるなら人の手が入ってない道を歩いているような感じ。(一応書いておくと縛りプレイが好きなわけではない)
エクストラスキル誤爆は相変わらず。何もない場所に向かって全力攻撃。ゲーム内で発揮される方向音痴も治らないので、序盤どこに行けばいいのか分からなくなってあちこち彷徨っていたら、強い敵に追い回されて逃げまくった思い出も。
カメラ操作が出来ない事に最初はちょっとやりにくさを覚えてはいたものの、樹海を探索していると、(例えば坂道をのぼりきった先で)景色が上手く見えるようにカメラがイイ感じに動いてくれたりしたから、途中からあまり気にならなくなった。
けどエルドゥークやルーの住み処はカメラ回してあちこちじっくり眺めたかった……ああいう場所好きなので。


一枚絵ではあるけどアドルの幼少期が見られるという事で、それを密かに楽しみにしていたんだけど、最初にそれが映った時「かわいい……」って声に出ていたかもしれない。完全にただの危ない人な気がする。でも可愛かった。セルセタのメイン絵師さんの絵柄、個人的にやや丸みがあって優しい雰囲気があるところが好きなので(閃T・UのOPと同じ方かな?)、ちびアドルどれも……良き……という状態に。
父親と話している時に、椅子に腰掛けているのはいいけど床に足届いてなかったり、寝てる時間だろうに外の世界の話を聞きに来て目をきらきらさせていたり、山に一人で行ったものの真っ暗で雨も降ってきてしまって「ぐすっ……」ってなっちゃったり。流れている『涙の少年剣士』も相俟って、忘れられないシーン。
こんな好奇心旺盛な可愛いちびっ子がああいう風に成長していくんだな……と思うと、同じ主人公でシリーズが続いている事に感謝しかない。

EDあたりの雑感。\が再定義ならセルセタは再構築の物語(後者に関しては、社長がインタビューで答えていた)。
グルーダ・ファントムとの戦いを終えて、火山の火口に太陽の仮面を投げ込むアドル。噴火が起こって転落してしまうけど、ソルに乗ったリーザが助けてくれて、そのままダナンへ向かう事に。聞けば仲間たちも無事で、そこで集合する事になっているという。
エルディールは結局、アドルに何の知恵を授けようとしたのか。リーザからそう問われた直後、記憶の欠片に触れた時のような回想が。

『そうですか、残念ですねぇ……。エウロペ大陸に代表される西世界と、海の向こう側にある未開の東世界……アドル君には二つの世界を結ぶ東西航路の発見者として、是非活躍して欲しかったのですが……』
『それにしても、人の力で世界を切り拓きたいという主張を、18歳の君から聞けると思いませんでした。おかげで他の方に頼もうにも、気が引けてしまうじゃないですか……』
『――アドル君。せめて君に名をつけさせてもらえませんか?』
『名と言っても、君には既に立派な名前があるわけで、私が贈るのは称号のようなものです。尽きることの無い好奇心を持つあなたは人々に夢を与えながら、生涯、旅を続けることになるでしょう……そんなアドル君に相応しい言葉……』

『――そう、《冒険家》というのはいかがでしょうか?』

エルディールがアドルに何かを授けようとしたのは既に分かっていた事だけど、ここでようやくそれが何だったのかが判明。東西航路、それがあればもっと色々な場所へ行けるかもしれないし、世界だって発展する可能性もある。でもアドルはそれを断って、エルディールに「人の力で世界を切り拓きたい」と伝えた。多分、エルディールは結構驚いたんじゃないかなぁ、と。同時に、彼ならきっとやれる、と信じられたから『冒険家』という名をくれたのかな。
他の有翼人も居ない中、長い時間を使命の為に生きてきたエルディール。生命の書を読み、人々に発明などの知恵を与え、世界が安定するように歪みを修正したりしていた。
そんな事を繰り返しているうちに、自身の中に生じた「本当にこれでいいのだろうか?」という想いがああなってしまったりもしたけど、その抱いた疑問(=人が自分たちの手で世界を切り拓いてほしい、という奥底に隠れていた願い)に対する答えをくれそうなアドルが現れた。だから、知恵を授かるのを辞退されても「せめて名をつけさせてもらえませんか?」って言ったのかな……と思った。

[、\に続いて『解放』という言葉が過ぎる結末。ダーナやアプリリス達のように、アドルに出会った事で救われたのは誰だったのか、とセルセタの物語を振り返ると、真っ先に挙げたくなるのはやっぱりエルディールかな……と感じる。
太陽の仮面がなくなり、生命の書も機能停止。その様子をレファンス王と共に見ていたエルディールは、これから自身が迎えるものを最期、とか、永い眠りと言っていたけど、それは死と同義なのか(有翼人の設定詳しく分かってないので何かに書かれているなら読みたい……不老不死と見た記憶はあるけど、それならエルディールは死んでしまったわけではないのかな)。
スタッフロールのイラストに、ルーに囲まれて穏やかな様子の彼のものがあったけど、アドルに出会い、冒険家という名と共に自身の願いを託す事が出来たのは、エルディールにとって良い結末だった、故にあの様子で眠りにつけた。そう思えた。

『分かっていると思いますが……人の身で正解を選ぶことは叶いません……それでも今……君が選ぶしかないのです……』

\ラスト、錬成された魂魄達がアドルに語りかけるシーン。↑の『飄々とした男性の声』はエルディールでは? と言われているけど、今思い返すと魂魄の色がすごく太陽だな……と。仮面の事があったからその色をしているのではなくて、彼自身が太陽のようなあたたかい人だったからかな、と捉えた。
アドルが選んだものは、誰かにとっては不正解である事もあり得る。それでも、アドルは何も選ばないような事はしない(この場面では選ばざるを得なかったけども)。それは彼自身が一番分かっているし、だからこそ、赤の王も「何も選ばなければ変わる事もない」と、対面した時に言ったのだと思う。
変化の象徴。やらなければ何も変わらない。コモドやセルレイでも感じた事だけど、この先も、アドルはこうして変化を与え続けていくんだなぁ。


前の記事でイースシリーズの『アドルが残した冒険日誌に基づいた作品である』というコンセプトが面白いと思った、と書いたけど、今作はそれがより強く押し出されている印象だった。
先述した、VITA版発売当時の社長インタビューを某所で見付けて読んでみたら、EDがああいう形で終わっているのは『あの後のセルセタは政治的に複雑だし、数年かけて描かれるべきもの。それを冒険家アドルの視点で描写する事は想像出来なかったし、セルセタの詳細を記して後世へ伝える事がアドルの役目なのか?(要約)』といった理由があったからだと言われていて、なるほどなあ、と納得はいった。
ダナンで仲間たちと再会するところまでは入っていても良かったのでは、とも思うけど、エルディールのあの台詞で終わったからこそ、イースシリーズは『アドルの冒険の物語』であり、セルセタの樹海はその再構築の物語だと印象に残ったのかもしれない。



セルセタを終えたらエステリアに行こうと思ってましたが、原稿の為にちょっと資料が必要になったので先にSEVENをやります。いざアルタゴへ。
マヤちゃんとは会いました。ちゃんとしゃがんであげるアドルにほっこりしたところから開始しようと思います。



2019/12/04 18:29

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