天弥見聞録 | ナノ


【イース\感想】今を生きる僕たち≠フ物語。

※イースはまだ[と\しかプレイ出来てない人間が書いてます。


アドルって面白いキャラだな。

↑\を終えて冷静になってから真っ先に抱いた感想
ドラクエの主人公のように喋らないわけでもないけれど、テイルズとか軌跡主人公のようにガンガン喋るわけでもない。だけど、\では[より表情が豊かになっている(気がする)し、あのイベントで長めの台詞を喋るし、事前のインタビューにもあった記憶があるけど、色々思い切ったのだろうなと感じる。
プレイヤーと等号で結ばれるのかどうか、ものすごく微妙なラインに立っているこの感じ、個人的には好き。

話が逸れたので戻し。
クリアタイムは30時間ちょっと(だったかな)。[よりはだいぶ早い。寄り道をしても良かったかもしれない。トロコンは多分無理だけど(アクション下手なのでナイトメア以上クリアが出来る気がしない)、やれそうな事は周回してちょっとやっておきたいところ……でもセルセタも始めたい。どうしたものか。
事前情報あまりガッツリと追わず、PVも一度見たきりで、過度な期待はせずに(でも異能アクション楽しそうだな〜! とか思ってはいた)ほんのり楽しみにしていた感じだったイース\。想像以上の威力を持っていた。
未だに厨二の心を引きずってしまっているので、\の雰囲気やキャラデザや(主に)赤の王のスキル名がざくざく刺さる。ラスダンではアドルビーム撃ちまくってた。

以下ざっくりとプレイ感想まとめです。


▼シナリオ
テーマの一つが「世界は変わりゆくけど、それでも今を生きる」という事なのかなとは感じる。これはキリシャが加入する二部から薄々感じていて、六部のジュールのところで(自分の中で)明確になった。
アドル以外のメインメンバー五人中、アネモナを除く四人はまさかの『かつて百年戦争で活躍した英雄のホムンクルス』という事実。そのアドルすらも、物語の終盤まではホムンクルスだったという……シャトラールやマリウスの台詞から薄々察してはいたものの、突き付けられたら呆然とするしかなかったし、今回はネタバレをある程度回避していたので心拍数上がった。寿命縮んだかな。

ラルヴァに対抗する為に、何度もホムンクルスとして錬成され続けてきた四人。力尽きれば再び錬成され、戦いに出て、また力尽きたら錬成……の繰り返し。四人を育てていたアプリリスママ(?)の話、ちょっと見てみたい。
ゾラの失踪が理由で今の四人はバルドゥークの民に預けられて育ったけど、それが結果的にグリムワルドの戦いの連鎖を断ち切る事に繋がり、彼らは彼ら自身の人生を歩み始める事が出来た。ホムンクルスではあったものの、それでも彼らはそこに生きていたし、これからも生きていくんだなあ、と……EDイラストを見て、止まっていた時間が動き始めたようにも感じるし、今までの続きを歩んでいるようにも思えた。
アプリリス(ロスヴィータ)含め、ある意味止まってしまっていた彼らが、アドルに出会えて良かった。見送ってくれたみんなにまたアドルが会う日は来るんだろうか。
あと、ラスボス戦後に出てきた魂魄たち……[以外未プレイなのでダーナしか分からなかったけど、コントローラー抱えて蹲るところだった。反則なのでは。でもあの魂魄、錬成されたものだから……と思うと……。でも真実なんだよなあ、としんみりしてしまう。

メンタルをボコってきたシーンを一つ挙げるならマリウスの消滅かな……彼が望んだ事とはいえ、刺し貫いた時のアドルの表情が、数時間経っても脳裏から離れてくれない。
現皇帝のホムンクルス、確かに生かしておくには問題がある存在かもしれない。だけど、彼の魂はどこに行ったのか……アドルのように本体に帰っていったようには見えなかったし、あの場で消滅してしまったのか。情報交換したり、悪友みたいに手を組んだり、一緒に脱獄した彼はアドルにとって、偽物でも何でもないマリウス≠セけど、彼はもうどこにも居ないんだと思うと、心に穴が空いた感覚が消えない……マリウス……。
魂は一緒には行けなかったけど、マリウスの想いと願いは、この先もアドルの中にある。今はそう思っておく。

神などの大いなる力から離れ、人は己の足で歩んでいく≠ニいう結末を迎える作品が好きな傾向にあるので、グリムワルドが消失したバルドゥークが進んでいく未来が気になるところ。後日談とかは望み薄いかな……ユファとフェリクスの結婚式、お花はキリシャが手配したのかな、とかあれこれ想像するのが楽しい。
多くの人々に知られず裏側で戦って救う、というのも好みだから(百年戦争の時や怪人として活動していた時と対になるようで)、ああ、彼らはこの形で決着がついて良かったんだな……歴史に残らない英雄なのだと思えて、最後の壁画が印象に強く残った。アネモナの笑顔、プライスレス。隣のジュールも笑ってて……ほんと良かったなあ……。
あの壁画、アドル(赤の王)のポーズが事前に出ていた集合絵とほぼ同じだけど、意図的なものなのかな。表情の違いが……刺さる……(頭抱え)

好きな方に分類される話ではあったものの、惜しいなと感じたところもあって、個人的にはアプリリスをもうちょっと押し出して欲しかったかなというのと(これに関しては[のダーナが強すぎたのかもしれない)、やや駆け足気味だった印象がどうしてもある。
けど、メンタルに刃を突き立てていった事には違いないシナリオだった。こういう少しダークな(?)雰囲気のシナリオが好きなのもあるのかも。


▼赤の王、もう一人のアドル
ふせったーでも呟いたけど「僕が君で良かった」という想いが、消える間際にアドルに手を伸ばした赤の王アドルの穏やかな表情から伝わってきて、ああ、彼は救われたんだなあ、と……。本当は持たないはずの過去と記憶を得て、アドルとして動いていた彼自身はあまりにも短い命だったけど(多分一ヶ月も経ってない……よね?)、造り出された身に経験や記憶が積み重なって、確かに一つの本物の命として存在していた。それがアドルのところに帰ってきた。だから死んだわけではなく、魂と力を連れて行ってくれ、一緒に行こう、となったのは自分の中では良い落とし所だったかな……。二人居るのが分かった時点で、片方が消えてしまうであろう事は予測出来ていたから。
「でも、ここで終わるわけにはいかない。冒険はまだ続いているからね」……消滅という運命を目前にしても諦めない、という気持ちが汲み取れて好きな台詞。冒険が続いているから、と言うのもアドルらしいなと感じる。

ここで序盤で出てきた『バルドゥークの檻』の本文を振り返ると、

自分ではない何者かになる。そんな夢を見たことがあるだろうか?
その夢の中で私は考える。
これは自分なのか、自分ではないのか?
夢が現実なのか、現実が夢なのか?
バルドゥークの冒険を通して私が辿り着いた答えはひどく単純だ。
『どちらでもいいではないか』
どちらが真実なのか――ではない。どちらも真実なのだ。
いずれをも肯定して受け入れ、そして未来を生きて行こう。
そう、監獄という名の揺り篭で私は真実という名の夢を見たのだ。

真実を夢≠言い表しているのは、グリムワルドが夜≠セからなのかなとも少し考えた。夜を越えて旅立つ時が夜明けだったのは、バルドゥークの冒険の終わり=夢の目覚めと取れるような……そうでもないような(曖昧)。というかアドル、詩人だな……今更だけど……。文章のセンスが良い。
赤の王もアドル。今ここにいる自分も勿論アドル=B終盤のサラディとのやり取りで「自分はアドル≠セって言えるの?」といった感じの事を問われて「今ここにいる自分とその意思こそが全てで、そこには本物も偽物もない――今ここにいる自分ももう一人の自分も紛れもない真実だ」と真っ直ぐに返したのが良い。テーマに対する答えが凝縮されているかのような印象。どこかで見たことがあるような? と思ったら、胡蝶の夢という説話だそうで。調べてみて納得した。
(先述したけども)常に移ろう中、目の前の今を未来に向かって生きる。万物は変わりゆく、けれど、本質は変わらない。イース\で描写したかったのはそのへんなのかなと思ったけど、これ閃Wでも感じた事だったな……ファルコムさん、こんな感じの話好きなのかな?


イース、良いな……[に引き続き、心底、そう感じられる作品だった。
色々追われていて過去作がプレイ出来ていなかったので、まずセルセタからやってみようと思う。ツイッターでもぼやいたけど、正直アドルに落ちかけている気がしてならない。自分でも「えっ今?」って思ってる。
なんだろう。かっこかわいいのもあるんだろうけど、共感から来る好きという感情みたいな、そんなものを感じる。
白紙の地図を手に進んで、埋めていくのはどうしようもなく楽しい。そう再認識する夜。




2019/10/13 21:04

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