もどかしく、もう一度唇を擦り合わせる。レイラをベッドに押し倒しながらネグリジェの裾を胸元までめくり、身体をまさぐる。腰からわき腹にかけてを撫で上げると背筋がぴくんとしなって、感じ入るように二度、三度と跳ねる。
「素直だね、いい子だ」
「あっ」
 パンティを抜き取りながら太腿を撫でて脚を開かせる。すかさずそこに自分の身体を押し込み、閉じられないようにしながら胸元に唇を落とす。未成熟な果実に舌を這わせ、食べてしまうようにかぶりついた。自分の触れた痕を刻みつけながら、唇を徐々になだらかな腹部に下げていく。
 可愛いおへそに舌を突っ込み舐めたあと、開かせた脚の間に顔をうずめる。
「待って、ジェイミー、いや」
「嫌?」
「……意地悪……」
 あえかな拒否の声を漏らしたレイラを見上げる。透き通るような肌をピンク色に染め上げて、意地悪、と。下げた眉を持て余すレイラに構わず、そこに唇を寄せた。
 舌でぐちゃぐちゃになるまで舐め尽くして顔を上げる。レイラは、途中で一度達したせいもあってか、すっかり脱力してベッドに沈み込んでいる。唇に残っていた体液を舌で舐め取り、指を入れる。熱いぬかるみは待ちわびていたように俺の指を迎え入れた。
「あう、ぅん……」
「痛い?」
 眉を寄せたレイラに、問いかける。ふるふると首を振り、答えのように指に食らいつかんばかりの勢いで力を込めた。
 ぞっと背筋が粟立つ。この半年で、どれだけこの少女を抱いたか。そのうちにすっかり内側は俺に馴染み、欲している。その事実に寒気がするくらいの熱が身体を焼き尽そうと燃え上がる。
「レイラ……愛しているよ」
 何度目になるかも分からない、睦言。レイラの睫毛がふるりと細かく震えた。彼女が俺のその言葉に答えを返したことはないが、それでも言わせてもらえるだけ、否定されないだけまだましだった。
 ベルトをくつろげ、レイラの脚を大きく開いてその可愛いふくらはぎにキスをする。ぐっと腰を押し進めると、かすかに拒まれるものの、最初の頃よりはずっとすんなり飲み込んでいく。
「レイラ」
 ぽろぽろと涙を零しながら、レイラが俺に縋りついてくる。身を屈めて肩や背中に腕を回せるようにすると、しがみついてきた。やわらかな指が俺の背中に食い込む。
 すっかりみだらに俺を咥え込んだレイラが、切れ切れの声で名前を呼んだ。
「ジェイミー」
「大丈夫? 痛い?」
「ジェイミー……」
 ほとんど吐息のような俺の名前が、熱っぽく弾ける。うわごとのように俺を呼びながら、レイラは幾度も絶頂を味わい、快楽を貪り尽くして脱力した。
「レイラ、……レイラ?」
 軽く頬を指で叩くも、反応がない。俺の背中に回されていた腕もいつの間にかシーツをやわく掴んでいる。ずるりと抜け出すと、レイラはかすかに身じろぎして俺の指をうっとうしそうに払った。
 女性相手にもいろいろと経験してきたものの、こんなふうに気絶されたのは初めてだ。男としてこれ以上名誉なことはないと知りつつ、少しだけつまらない気持ちになる。
 レイラともっとお喋りがしたかった。腕枕をしてあげて、それこそレイラが眠るまでそばについて頭を撫でていたかった。
「……おやすみ」
 ほんのり汗ばんで色づいた額にくちづけして、適当に身繕いする。リネン棚からタオルを引き出してレイラの身体を拭きながら、今夜は朝までここにいようか、それとも、と悩む。
 悩んでいると、携帯が震えていることに気がついた。脱ぎ捨てたジャケットを拾い上げ携帯を出せば、案の定モニカだ。
「もしもし」
『急な仕事よ。残念ね』
「ほんとうに残念だ」
 モニカから仕事の概要を聞いて、立ち上がる。そういえば監視カメラの録画を切ったままだった。俺の携帯の権限で録画を切ると、モニカにはハッキングして強制解除するしかすべがない。そしてモニカはそんな下種なことをしない。ただし、録画が切られるということがどういうことなのか分からないほど、モニカは馬鹿じゃない。録画を再開し、もう一度ベッドに近寄る。
「ごめんね、行ってくる。苺のタルトを楽しみにしていて」
 聞こえていないだろうレイラに囁いて、俺はそそくさと鳥籠をあとにした。

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