めかくしばり


  


「だ、いじょうぶ…俺に任せて。…目隠しすれば大丈夫、だから…」

そう言って迫ったのは自分だった。
遊は少し心配そうにそうかなぁ、と言って俺にその綺麗な瞳を向けた。俺はそれを隠すために自分のネクタイでその綺麗な瞳を隠した、

思えばそれがいけなかったんだ。
いや、一番悪いのは遊を好きになってしまったことか…。
もし遊と出会わなかったらきっと今の俺はいない。…こんなノンケ相手に馬鹿げた事だってしていなかったし、…でもきっと遊と出会っていなかったら俺はずっと独りで悲しくて寂しい、孤独な人生を送っていたんだろう。
…違う道を選んでいてもきっと俺は遊を求めずにいられなかったんだ、最初からこうなるって決まっていたんだ…。



遊とはもともと同じ小学校の子で仲が良かった。でも途中で俺が隣町に引っ越してしまってから小学校が変わって…中学校も違くなっていたが、高校に入って遊と再会してそれからはまた一緒に行動するようになった。

…正直、運命だと思った。
遊は小学生の時と全然変わってなくて、でも…格好良さは断然に増していて周りはキラキラした人達ばかりだった。遊はいわゆる人気者、になっていた。
遊とは1年、2年と同じクラスだったが遊はずっと人気者の立ち位置にいた。それでも変わらずネクラな俺と付き合ってくれて、とても優しかった。

俺はそのままでいいと、思ってたんだ…
そのまま高校を卒業して、大人になって…連絡も減って、いつか顔すら忘れてしまう…それで良かったのに、

「……え?」

「だからね…告白、されたんだ…」

告白なんて何回もされてたのを知っている。でも今回はその相手がまさか”オトコ”で、
…しかも遊がその告白を受けるだなんて、…そんなの一体誰が想像した?…少なくとも俺は想像なんかこれっぽっちもしてなかった。

「ごめんね!今日は秋葉くんと帰るから…今度、…」

「もう行こうよっ!早く行かなきゃ!」

グイグイと遊の袖を引っ張っていたのはその告白してきた男の子でとても可愛い年下の子。新しくオープンしたカフェに行きたいとねだりながら早く早く、と…まるで幼い子供みたい。

「あ、じゃあね!また明日!」

サク、と
いつも遊はそう言ってくれるのに、今は秋葉くん秋葉くん、と…そればっかり。秋葉くんとどこへ行く、だとか…秋葉くんはこうなんだ、だとか…俺がいつもどんな気持ちでそれを聞いているのか知らないから…。

「…ああ、ばいばい…また、明日。」

なんで遊が知らないのかは俺が一番よく分かっている。…俺には勇気が無いから。秋葉くんにはあった勇気が俺にはひとかけらもない、もちろん他にも秋葉くんは俺が欲しかったものを持っているし、遊と秋葉くんは凄く似合っている…。

そう分かっていても、嫉妬する事は止められなかった。

「どこまで進んでるの…?」

そう聞いて少しの後悔。
もし最後まで行っていたら、と思うと心がズクリと痛んで抉られた気分になる。

「じ、実は…」

チャンスだと思った。
これを逃したらきっともう遊の心に残れない。そう思うと勝手に口が動いていて、しかもその時だけグルグルと頭が光速で回転していた。
どうしたら遊が俺のことを見てくれるか、どうしたら秋葉くんと別れてくれるか、どうしたら遊が…、そればっかり。
きっと口から出た言葉は全部俺のやりたいこと。

「悩んでるなら俺に言ってよ、よく知ってるからさ」

それに遊なら、なんでもやってあげる。
最後のは本心と、それと願望もこもっていた。遊のためなら何でもできる、遊のために何かしてあげたい。
…でも、秋葉くんと別れて欲しい、

そう言った俺に対して遊が言った言葉はとても俺を傷付ける言葉で、でも、それでも俺は馬鹿みたいに知恵を絞って…遊を罠にかけた、

「それなら一回俺とヤってみる?大丈夫、一回だけやってみればわかるよ。」

きっと秋葉くんとも、ちゃんと出来るようになるよ。
欲望と嫉妬とでごちゃ混ぜになった言葉はすんなりと遊に受け入れられた
俺は嬉しくて、…悲しくて、それでも遊に笑いかけた。遊も笑顔だった。



「ぁ、ヒッ…はっ」

「だ、大丈夫…っ?や、止めた方が…」

「だ、いじょぶ…!今、やめたら…っあきば、くんと…っ」

ずるり、と俺の体内に入ってくる自分の指。
…そんな情けない痴態を遊に見られているのに、

「…こ、やって…一本ずつ、入れて…っほ、ぐす…の、」

ぐちぐち、ぬちぬち、と恥ずかしい音に遊の視線。ゾクゾクと背中に走るのは確かに快感だった、
これでもし友情を失ったとしても、きっとこの先いつか俺を思い出してくれる時が来るかもしれない。
そんな馬鹿げた淡い期待が俺を推し進める

「ひ、拡がって、…も、大丈夫そうだったら…ンっ」

入れて良いから…。
そう言って俺は自分のなかから指を抜いてその手でネクタイを握った。

「ね、…本当に、いいの…?」

俺は笑って冒頭のセリフを言ったんだ。
勢いと焦りに身を任せて…本当に馬鹿だったと思う、


「ぁ…っふ、…ぅぁ…ひ、っ…!」

グチュグチュと自分の下半身から鳴る音は聞いたことない位下品で、卑猥だった。
目隠しをしている遊の首に腕を掛けて抱きつきながら一生懸命になって腰を揺らす。

「は、ひっ…ぁぐ、…ふ、ぅ、う…ッ」

「…っ…ふ、」

小さく息を漏らす遊に嬉しくなって少し中を締め付けたりしてみて、笑った。
きっと遊の想像の中では可愛い秋葉くんが喘いでいるんだ。遊の上に乗っかって、遊に名前を呼ばれながら、

「ふ、ぅ…っ…はっ…っ、くっ…」

ポロリと滴が落ちて次々溢れ出した。
荒い息でばれないように漏れ出そうな泣声を押し殺して、
自分の下半身が遊と繋がってる。
それだけで幸せなはずなのに、…自身はダランと力なさげに頭を垂れて、自然と涙が流れてくる。
ああ、やっぱり止めておけば良かった

ダサいなぁ、俺。

「はぁ…っサク…っ」

「っ!!!」

まるで俺を求めているような呼び方、なんで…そんなこと言って…、ずるい…。
にちゃり、と粘つく音に少し笑って俺はまた腰を揺らした。

「…は、…ふ、…っん、う…」

「だ、…してい…っ?」

耳元で囁かれるようにそう言われて俺もいいよ、と囁き返した。これってなんだか恋人同士みたいだな
でも、これで終わる。…なにもかも、

「遊…」

「……っ…!」

チュ、と遊の隠されてる目元にキスをしてみる。
そしてそのすぐ後にビクリと遊の肩が震えて熱が広がったのが分かった。なんだか俺のキスでイってくれたみたい…、そんなわけないのに馬鹿みたいな事を想像してみる。
遊は薄く唇を開いて熱い息を吐き出している、その唇にキスができたら…どんなにいいことか…。
でもこの唇は秋葉くんのモノで、だからその唇で秋葉くんを愛しく呼ぶんだ。…俺じゃない、秋葉くんを…、

クタクタになった足を心の中で叱咤して重い腰を上げる。そうすると中にいた遊がズクリと動いた
…え、?

「ゆ、遊…?」

「…は、…っ」

またズクリと動いて腹の中のものはどんどん大きく育っていく。な、なんでまた…、
二回目だと言うのに奥を押し上げて来て既に疲れ果てていた俺は顔を顰めた。

「も、…ムリっ」

遊のお腹に手をついて再度立ち上がろうとすると遊に腰を押さえ付けられる。

「ふ、…ごめん、これとるね、」

そう言って遊は目を隠していたネクタイをさっと外して床に放り投げた。
な、なんで…っこんな姿見せるわけには…!


「も、抜けっ…!やめ、…ひぁ!?」

「…ッ…」

グンと腰を突き上げられて目の前が一瞬チカっと光った。

「ぁ、あ…っあ、ぁ」

一定のタイミングで腰を叩きつけられて身体が揺れる。腰を掴んでいた遊の手は俺の腕までも掴んでそのまま自分の良い様に動きだす。

「も、ぉ、…や、め…っ」

ガクガクと震えるままに喋るとその振動が伝わって舌を噛みそうになる。
もう、なんで…っ

「…はっ…、こういうの、…誰かとしたことあるの…っ?」

「な、っ…なん、でっ」

「…いいから、答えて、…」

喋っている間もずっと腰を押し付けて来て、俺の身体は遊のされるがままに揺すられた。
ここで無い、なんて言ったらきっと何もかもバレてしまう…。

「…あ、…る…よ、っ」

「……」

「ぁっ、なに…っ!?」

突然ペロリと胸元が舐め上げられて、驚いて遊の顔を見ようとした瞬間激痛が乳首に走った。

「ひ、ぎぃっ」

「いはい?ふふ」

「い、いだ…っ」

ギチギチとそこを十分に強く噛まれてからパッと離される。離されたそこはジンジンしてきれいに歯型がついて見えた。俺は半ば泣きそうになりながら遊を驚いた瞳で見た

「な、なんで噛む…っ、ん、」

「、わからないっ?」

ズン、と俺の中にあったモノをまた突き上げた遊にそう言われてまたズクズクとお腹の奥を開かれて暴かれる。

「ひ、ぃッ…あっ」

「はぁっ…」

バチンバチン…肌と肌がぶつかる音、に様々に変化する水音、俺の喘ぎ声に遊の荒い息。
もう身体はドロドロなのに頭の中までもドロドロにさせられる。とても濃い毒だ、猛毒
身体から力が抜けて来て考えられるのは甘くて強い、強引な刺激だけ。

「ぁ、なにっ…あ、ぁ、あっ」

「?…どうした、」

「なんかっ、あっ…ぁあ」

ビリビリ、ビリビリ
奥を突かれる度に起こる刺激。
一瞬なのに強烈で、とても甘くて

「ああ。ここがいいの?サク」

「へっ、ぁ?……ぁああっ!?」

押し倒されていた身体ごと持ち上げられて座る体制になるとまた身体ごと持ち上げられて、一気に突き上げると同時に落とされた
そしてそのまま背中をがっしりと捕まえられてガツガツと腰を振りはじめる遊。

「、ぁ、…ぁあ、…」

やめるよう言ったが遊は止まる様子がなくてそのあと俺は二度達してからしばらくして揺さぶられながら気を失った。



「ぅ……」

目が覚めて起き上がろうとすると、地面がぐらりと揺れた気がした。

「……今何時、…」


「今はね、昼の1時だよ。」


聞き慣れたような声が聞こえて、バッとそっちを見る。

「遊、…」

ドクリドクリと心臓の音が大きくなった気がした。

「身体、大丈夫?」

「あ、ぇ…った…!」

少し身体を動かそうとした瞬間、凄まじい痛みが腰から太ももまで走った。
しかもお尻が…なんか開いたままみたいな…スースーする。

「…やっぱりその反応じゃ初めてだったんじゃない?」

「なっ、わけない!…これはその、久しぶりだったから…」

「ふぅん。じゃあ前の相手は?」

初めてだなんて遊が知ったら、この気持ちもバレてしまうかも知れない。遊と一回でも出来るって思った俺の想いが、伝わっちゃうかも知れない。

「中学の時の先輩…、」

ふと出てきたのは部活でホモだホモだ、とからかわれていた先輩。それはお遊びだったけど、でも…なんか遊に似てたからよく目で追ってしまっていた。

「…その先輩と、俺と。
どっちが気持ちよかった?」

「えっ、そ、そんなの…」

気持ちいいとか気持ちよく無いとかじゃなくて、遊としたってことが一番気持ちいいだろうから…。
でもそれってなんか遊を求めてるみたいでキモい…かな?

「せ、先輩とは何回かしてたから…」

「から?」

「えっと、…比べられないよ。」

「じゃあその先輩と同じ回数やろう。
そしたら分かるかも」

手首を掴まれてビックリして、思わず振り払ってしまった。
だって、今からするってそういう雰囲気だったよな?

「遊には、秋葉くんがいるだろ、!」

「今更そんなこと言うの?」

「えっ…?」

やっぱり遊は怒ってるのだろうか。
気持ち悪いって、思った…?

「あ、…俺…」

「ちゃんと出来るようにしてくれるんでしょう?」

「えっ…!」

それって!
また遊とできるってこと…?
気持ち悪がられてないの?

「教えてよ、サク」

「…ぁ…」

「もっと…色んなこと、知りたいな」

遊の身体が近づいてきて、そっと俺の耳にそう囁いた。
そのまま耳にキスを落とされると、なんだかもどかしい気持ちになって顔が赤くなった。

「…遊、…うん…。」

「ふふ。…これからも、よろしくね。」

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