俺様的勧誘方法 | ナノ
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学校に着いて、(とは言え寮からの登校なので長い廊下を歩いただけだが)まだ起きてからあまり時間が経っていなく、自分の席でぼーっとしている律の肩に、ぽん、と誰かの手のひらが乗った。
毎朝の事なので特に驚くこともせず横に立つ人物を見上げれば、朝に相応しく爽やかな笑みを浮かべた親友が自分を見下ろしていた。

「おはよう律」
「おはよ、斗真(とうま)…」
「寝るなよ」
「寝てねーよ」

目開いてないよ。そう笑って前の席に座り律の方を向いた彼、矢野 斗真(やの とうま)は律の数少ない親友である。
染めていない栗色のサラサラの髪。涼し気な目元と薄く引かれた唇。そしてその整った造形に乗る爽やかな笑み。爽やかの代名詞のような容姿は、親友という贔屓目無しでも彼は格好いいと思う。
それに斗真はフレンドリーで男女共に人気で、性格も良い。そんな彼は律と中学の頃から一緒で親友歴は割と長く、誰よりも気の許せる存在である。

「あ、寝癖」

スッと伸びてきた手を薄く開いていた目で一瞥して、また目を閉じた。後頭部の髪が跳ねていたのか、斗真の指が律の癖のある髪を指で梳いては撫で付ける。頭を撫でられているようなその感覚が気持ち良くて斗真の手に頭を押し付けると、クスリと笑い声が聞こえた。

「ところでさ」
「?」

「あれどーすんの?」

教室の後ろのドアあたりを指差す斗真の声に目を開ける。離れていった手の温かさを名残惜しく思いながらも振り向き廊下を見れば、異常な程の人の群れ。小柄な子が多いのか、囲まれている人物が大きいのか、きっと両方なのだろうが、とにかく律は中心にいる彼を見て、白目を剥いた。
律が自分の方を向いた事に気付いたのか、廊下で人に囲まれている人物は嬉しそうな表情を浮かべる。
だがしかし、律はその顔を見る前に、無言で前に向き直り、再び目を閉じた。

「え、放置?」
「イエス放置」
「絶対律に用事あるだろ」
「面倒くさい」
「めっちゃこっち見てるけど」
「いいのいいの」
「あ、こっち来る」

来んな、と思ったがコツコツとなる足音を聞き、もう遅いかと溜息を吐いた。


「小林 律!!」


なんで朝からそんな元気なんですか、会長さん。
ここで無視をすると面倒だと、ぼんやりする頭で考えつつ側に立つ彼を見上げた。






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