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軟禁倶楽部 - 1



軟禁倶楽部へようこそ

軟禁倶楽部とは、ひと月の間、多目的で軟禁を望む方々と、金銭で了承頂ける皆さま方との出会いの場を提供するものです。
決して行動の自由を奪うことは致しませんが、軟禁後のいかなる事項において、当倶楽部は一切の責任を負わないものとします。
また謝礼金については計一億のほどを、ご了承頂けた方にお支払い致します。

ではあなたが良き主人に選ばれることを、心よりお祈り申し上げております。

―――――

金の額縁に収まる上質な羊皮紙に書かれた説明に思わず絶句する。つい不気味な仮面をつけた男たちに視線を向けるが、誰一人として俺の気持ちを汲み取ってくれる者はいなかった。
猛烈な不安がぷちぷちと音を立てながら忍び寄って来るが、それ以上にどこか安堵の息をついて、俺は目の前の扉をゆっくりと開けた。


俺には二歳年下の弟がいる。不出来な俺とは違ってなんでも出来る弟は、正直憎むこともあったけれど、それでも自慢の弟だった。そんな弟は、栄二はある日、忽然と姿を消した。
両親はもちろん、俺や友人ら、同級生までも総出で栄二を探したが、どこをどう探してもその日から栄二が戻ることはなかった。

栄二が消えてからというもの、両親はすっかり荒んだ生活を送るようになり、今じゃ俺の稼いだ金で飲み散らかす廃人と化した。高校の頃は同級生らが「消えるのが一正(いっせい)ならな……」なんて話しているのを聞いてしまい、さすがにショックで泣いたっけ。

それでも俺は探すことを諦めなかった。もはや意地を張っていたと思う。こんな不出来な俺を残して消えた栄二を見つけ出し、今度は俺が消えてやろうと、そんな意地を張っていたのだと思う。

そんなある日、差出人も消印もない一通の手紙が俺の元に届いた。
もしかしたら栄二かもしれない。バクバクと音を立てる心臓がうるさく響く個室の中で開いた手紙は、残念ながら栄二からではなかったが、失踪から三年経ち、成長したであろう現在の栄二の写真が同封されていた。そして、交じっていた羊皮紙のカードにはとある住所と内容にもなっていない、軟禁倶楽部、という文字列がたった一行、添えられていたのであった。




 


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