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食らわば皿まで - 9



*浜津side**


「古滝、いい加減さぁ、敬語止めたら?」

「でも慣れですし」

「んー、でも俺ら、友人だろ?」

「友人なんですか?」


おいこら。てめーその焼きそばスペシャルハヤシライスバーガー奪って捨てるぞおい。

あれからちょくちょく古滝にちょっかいを出すうちに、俺はすっかりこのマイペースな大ぐらいにのめり込んでしまったらしい。
多少、いやかなり失礼な発言も多いが、それは古滝がその対象に興味がないだけであり、興味がなければ古滝にとってそれは無価値同然なのだ。

つまりこいつの中では食べ物以外は無価値なのである。

と、ある日気づいた俺は柄にもなく焦ったわけで、どうにかしてこの大ぐらいに認めて貰おうと考えた結果、ちょっかいを出すという方程式に辿り着いてしまった。


「友人じゃねーの?」

「浜津が友人だと思うなら友人なのかもしれません」

「嬉しくねーの?」

「? 嬉しいに決まってるじゃないですか、浜津は時々アホですね。ほら、これあげるから泣かないでください」

「泣いてねーよ。つかいらねーよ」


笑顔でアロエアセロラぴゅあぴゅあリンゴミックスジュースなんておぞましいものを差し出してくんじゃねぇよ。そしてどこで売ってんだよこれ。買うなよアホか。


「じゃあ敬語止めろよ。その方が俺は嬉しいんだけど?」

「んー、中々難しいことを言いますね、浜津は。そのうちきっと慣れたら多分敬語ではないでしょう」

「なにそのすげー曖昧な天気予報みてぇな返事」


とは言うものの、結局それから一ヶ月経っても古滝の敬語は直らず、痺れを切らした俺は笑顔を浮かべながら古滝の前でキャリーバックの非常食をぶちまけ、火をつけてやった。ついでにそこで焼き芋を作り、めそめそ泣いている古滝にあーんしてやった。嬉しそうに微笑む古滝のアホ面は今でも忘れられない。




 


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