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したらば俺の争闘戦線 - 1



――ラミットちゃん。
それは最近人気の兎を模したキャラクターの名である。
外見はいささか不気味で、兎と認識できるのは(なぜか齧られている)長い耳があるからであり、それ以外は正直ホラー要素満載なキャラクターだ。
だがしかし、ラミットちゃんは人気だ。とても大変すばらしく人気だ。なぜだ。


「お兄ちゃん、ラミットちゃんのアイス欲しい」

「え? ミコにゃん、帰ったらご飯だよ?」

「だいじょうぶ。甘いものは別のところに入るってママ言ってたもん」

「んー……でもね、ミコにゃん……」

「……お兄ちゃん、だめ?」


まあるい目を潤ませながら、服の裾を握って上目使い。
我が妹ながら凄まじい破壊力だ。さすが俺の妹、マジ天使。

仕方ないなぁ〜と言いながら紫やらピンクやら末恐ろしい色をしたラミットちゃんアイスを買ってあげると、妹は頬を染めながら「ありがとう、お兄ちゃん!」と、にっこり微笑む。
あぁお兄ちゃん、その笑顔だけでもう死んでもいい。いや、待て。俺が今死んだらミコにゃんを狙う不届きものを成敗できないな。やっぱり生きるよ、お兄ちゃんはミコにゃんの為に生きるよ!

ラミットちゃんアイスを手にして上機嫌なミコにゃんと手を繋いで帰路へつく。食べながらラミットちゃんのテーマソングを歌うミコにゃんの美声にお兄ちゃん、もう幸せすぎて昇天しそう。


「きゃっ!」

「ミコにゃん!?」


と、ミコにゃんの美声に昇天しかけていると、マイ天使ミコにゃんが驚きの声を上げる。すかさず現実世界に戻ってきた俺が目にしたのは、ミコにゃんが持っていたラミットちゃんアイスがべったりと付着し、怒りに青筋を立てる不良の姿であった。

おっほ! さすがにお兄ちゃん勝てないよ!?




 


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