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「それで……俺と仁さんが付き合ってるってバレて……そいつらに、殴られた」

「……うん」

「キモイって、ホモって、チームの名を汚すんじゃねぇよ……って!」

「……あぁ」

「それで、それが、仁さんにバレて、仁さんが……俺と雄樹を認められねぇなら、二度と来るな、カシストに、来るなって……」

「……そう、言ってくれたんだな」


ふざけんな。なんだ、それ。


「そいつらが……っ! そこにいるそいつらが、俺を殴ってきたのに、なのにっ! いまさら謝られて、そんなの俺、馬鹿にされてるじゃんかっ!」

「……」


声を荒げ、濡れた瞳をした雄樹が俺のほうに顔を向ける。
その顔を眺めて、俺はなにかを思惑した。


「でもっ! 玲央さんも隆二さんも知ってたんだ! 俺、が、殴られたこと、知ってたんだ! なのに――止めなかった!」

――ペチン。

「……え?」


もう一度声を荒げた雄樹の声を聞き終えて、俺はその頬を両手で挟んでやった。
仁さんはギョッとしていたが、叩かれた雄樹は呆然と、なにが起きたのかよく分からないそれを俺に向ける。


「ふざけんじゃねぇよ。アホだアホだとは思ってたがな、雄樹、やっぱりてめぇはアホだよ」

「……え?」

「仁さんのことを悪く言われて喧嘩した? 謝られて馬鹿にされてる? 兄貴と隆二さんが止めてくれなかった? 甘えんのもいい加減にしろ」

「トラ……ちゃ」


包帯やらガーゼやらが巻かれた腕を下ろし、俺は雄樹を見据える。
だってそうだろ、なんだよこのアホ。アホすぎて……目が離せねぇよ。


「俺はな、雄樹。お前が仁さんと好きあって恋人してることに口出しするつもりも、馬鹿にするつもりもない。けどな、それを馬鹿にしたやつらが謝れって言われて、今謝ったんだろ? なのに、それが馬鹿にされてるなんて怒るのは、その機会を作ってくれた、恋人である仁さんに失礼なんじゃないのか?」

「――っ」


言い放った言葉に、雄樹が息を堪えて目を見開く。




 


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