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エレベーターがついた音がして、中からカラン……カラン……と、金属質な音が聞こえたのは。
人が集中するにはまだ早い時間だが、それでも店内には客が何人もいる。そんな客をも混乱させて現れたのは、色とりどりのカラーヘアーをした、不良たちだった。

金属質な音の正体は、そいつらが持つ金属バットである。


「お前ら……」


そんな彼らの様子を見て、目を見開いた隆二さんが明らかに動揺した声音で言う。
俺はそんな隆二さんと彼らを交互に見て、知り合いでもおかしくはないと納得してしまった。


「隆二さん、アンタまたここにいたんですか」

「……あぁ、すぐそっちに行く」

「は? なに言ってんの、頭おかしいんじゃねぇの?」

「……」


知り合いだろう彼らは不機嫌さをあらわに隆二さんに拒絶なのか、それとも反発なのか否定的な言葉を投げ捨てる。
隆二さんの整った顔が、悲痛に歪みそうなのを見た。


「決めたよな? 俺らはもう、絶対にここ来ないって決めたよな? なのにそれを副総長のアンタが破って何様のつもりなんだよっ!」

「……」

「返す言葉もねぇよなぁ? 当然だよなぁ!? ここにいるのが事実だもんなぁ!? ――ふざけんなよっ!」


ガァァアン……。感情が高ぶったであろう不良が、その手に持つ金属バットを床に叩きつける。
隣にいた仁さんがそれに舌打ちをするが、そちらを見る余裕が今の俺にはなかった。


「俺らブラックマリアを敵に回したのは、隆二さん、アンタだぜ」


はーっと深い息を吐いたあと、不良は言った。
血走ったような危険な双眸を真っ直ぐ、隆二さんに向けて。

そして次の瞬間、不良たちは客のことなど構うことなく隆二さんに殴りかかったのである。

ガシャーンッ!
テーブルや丸イスが床の上に崩れ落ちて、その上に置かれていた酒や料理が原型を忘れて壊される。
女の甲高い声が店内に響き渡り、俺は持っていた包丁をまな板の上に落とした。




 


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