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「ちなみにご懐妊は……」

「してねぇし!」

「え、じゃあまだ手も繋いだことが……っ」

「いや繋いでるから! バリバリラブラブだからっ!」


俺のアホなノリに突っ込みを入れる雄樹。
いや、なんだよバリバリラブラブって、死語とかもう超越してんぞその言葉。

そんな雄樹に笑いを堪えていれば、やつはハッとして俺を凝視する。
なんだかいつか見た瞳に似ていて頭を撫でたかったのだが、そこには仁さんの手があったので頬をつねってみた。


「いいんじゃない? 逆に付き合ってるって知ってしっくりきてるし、お幸せに」

「……トラ、ちゃん……」


驚愕したやつの瞳が、まあるく俺を見つめている。
もしかして嘘で、俺は騙されていたのだろうか? そんなことが一瞬頭によぎるが、


「……えへへ」


嬉しそうに、それはもうアホさ全開の幸せそうな笑みを見て、俺は雄樹と仁さんを心から祝福した。
一体どれほど付き合っているのかは知らないけれど。

そんなカミングアウトを受けても俺たちは相変わらずで、残りのスプーンレースまでのんびりと、それはもうのんびりと過ごしていた。
借り物で隆二さんがなぜか竹刀を持ってゴールしていたり、元調理室の住人、リーダーさんが驚くほど足が速かったり、そんな他愛もない日常の風景と発見を見ながら、あっというまに昼の時間になっていた。

昼は仁さんが用意してくれると言っていたので楽しみにしていれば、それは五段重ねのおせち並みの豪華さをまとう弁当だった。
なぜ、なぜおにぎりが一口サイズ……っ、なぜ白ゴマ……っ! なぜ! 鯛の焼き物!
仁さんのチョイスに変な感銘を受けつつ、俺と雄樹は仁さんのおせち……ではなく弁当に舌鼓を打ったのである。


「あ、リーダーさん」

「あ?」


そして午後の部がはじまり、眠りこけていた俺と雄樹が仁さんに叩き起こされ、しぶしぶスプーンレースのスタート地点へ行けば、その途中でリーダーさんに遭遇した。
俺が「リーダーさん」と言った瞬間、雄樹はブフッ! と噴き、リーダーさんは眉間にしわを寄せる。




 


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