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――パーンッ!

翌日、体育祭は昨日と同じ花火の音で始まった。
俺と雄樹は定められたクラス位置のうしろに立つ、木々の日陰の中であくびを連発していた。


「始まりましたねー」

「ですねー」

「仁さん、いつ来るんですかねー」

「あー、それならメールもらったー。なんかね、もうすぐ着くってー」

「え、ちょ。最後まで口調合わせてくんねーの、お前」


俺から始めた妙な口調を途中で止めやがったアホに突っ込みをいれつつ、誰も聞いてはいない校長の話を聞き流す。
教師の存在など関係ないと多くの不良たちが堂々と喫煙している校庭では、皆、妙に張り切った様子で第一種目の準備を始めている。どうした不良たち。


「ね、トラちゃん知ってる?」

「なにを?」

「なんかねー、今年は優勝すると貰えるんだって」

「あ? なにを?」


不良たちのやる気を不審に思いながら雄樹に尋ねてみれば、やつは木を背もたれにしたまま校庭を見つめ、言った。


「金一封」


わぁお。

詳しく聞いてみたところ、どうやら毎年、不参加者多数の我が高校では体育祭をやる意味などなく、それに頭を痛ませた教師たちがついに今年、腹をくくったのだという。
自分たちのポケットマネーから賞金を出そう――と。その額、噂によるところ一クラス五万円。

そりゃ不良たちのやる気も上がるわけである。

我が校の体育祭チーム分けはいたって簡単なもので、学年別にある一組から五組までを縦方式で一チームとした簡易分けだ。
よって、優勝チーム計三クラスだけがその賞金を手に入れられるということである。


「でね、残念なことに俺たち一緒なんだよ」

「なにが?」

「玲央さんと隆二さんのチーム、一緒なんだよ、俺たち」


えー……。




 


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