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そんなどこか抜けている凰哉だが、その暴れっぷりは集る不良たちの心を粉々に砕き、しまいには「群れなきゃなにも出来ねぇカスが吠えんな。文句があんなら一人で来いや」とばっさり追い打ちをかけ、皮肉にも街の平和を保つ要因となっていた。
そんな凰哉だが、仕事に関してはいたって真面目で、その端正な顔立ちから女性客にも人気だ。凰哉に群れたいと狙う不良少年の他に、凰哉に近づきたいと狙う女子たちもしかし、仁さんの手によって追い払われている。


「でも俺だけのせいじゃないと思いますよ? 仁さんも人気が高いけど、なにより小虎さんファンが一番多いじゃないですか」

「あー……まぁ、そりゃ否定しねぇが」


ん? なんだか話の矛先がこっちに向いてないか?
苦笑を浮かべたまま作り終えたお粥をカウンター越しの少年に差し出すと、彼はだらしのない笑顔でお粥を受け取った。お盆ごと差し出したとき、さりげなく触れられた手にいち早く気づいた凰哉が「調子乗ってんじゃねぇぞクズ」と暴言を吐いていたので、打って変わって顔色の青い少年の代わりに凰哉の腕をひじで突いた。


「否定するとこですよ、仁さん。第一俺にファンなんていませんよ」

「「……」」

「なんで二人で黙るんですか」

「「……」」

「だからなんで黙るんですか、もう」


と、怒る俺の姿を優しい眼差しで眺める二人に説教しようと口を開いたとき、出入口から現れたキラキラと輝く今時のオシャレ女子たちが俺に手を振った。


「トラちゃーん、約束通りお粥食べに来たよー」

「あ、こんばんは。本当に来てくれたんだ」

「うんっ、あの日食べてからハマっちゃった。今日は友達も連れてきたから、売り上げ貢献しちゃうかもよ?」

「あはは。うん、助かる」

「本当? じゃあデート一回で手打つよ?」


なんて、可愛い冗談を口にしながら谷間を強調する女子にゆるりと微笑む。


「だーめ、俺なんかがこんな美人とデートしたら、色んな男に怨まれちゃう。ね?」

「……ちぇー」


あざとく谷間を強調する美人。特に見てもつまらない俺。そんな二人の会話で見るべきは美人だろうに、なぜかカウンターに座る男女の大半が見つめてくるのは俺だった。違うだろ。特に男子ども。




 


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