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旅行の時とは違い、その舌で全身を味わう愛撫が与える快感はケタ違いだ。
腕を掴んでいた手が俺の手首を持ち直す。一体なにをする気だと見つめていると、玲央はそんな俺を見下ろしながら指先に口付けた。
控えめな音がしたあと、爪と皮膚のあいだを狙って舌が伸びてくる。ぞくりと肌が栗立つ俺などおかまいなしに、指先から水かきまで舐めしゃぶり、手の平をくすぐり、手首にキスが落とされる。


「ほら、言えよ。どうして欲しいか、ちゃんと言え」

「……や、めっ」


理性を狂わせた獣の言葉は攻撃的だ。そのくせ与える刺激は波間のように緩やかで、俺の意志を無理に保たせる。
もっと強引な、我を失うような途方もない欲情をチラつかせ、ギリギリで突き放すこの感覚は、玲央の背中をひたすらに追っていたあの時間によく似ていた。それが情けないくらい悔しくて、やっと追いついたと思った次の瞬間、またも距離を取られたようで腹が立つ。


「おれ、も……っ」


なぁ知ってるか、これでも俺だって男なんだ。


「おれ、も……っ、触りたい……っ」


ゆっくり時間をかけて獲物を仕上げる獣に牙を向く。掴まれた手首を無理に払い、その肩めがけて手を伸ばす。無意識に爪を立てながら、強引に起こした体で玲央に反撃すれば、急なことで堪えきれなかった逞しい肉体が俺の下に落ちた。


「はは……っ、さっきと逆、だね?」

「てめぇ……、」


一度イッたことで俺の頭は多分、ネジが外れている。
またイキたい、もっとイキたい。ぐちゃぐちゃに、めちゃくちゃに、骨の髄まで喰い尽くされたい。けれどそれと同じくらい、この男を喰い尽くしたい。




 


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