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「……ずるいよ」


ようやっと、この男の隣に並べた。ずっと背中を向けていて、自分の気持ちを隠す兄の隣に並べた。そのくせ俺を守り、励まし、時折歩みを止めて俺を待っていてくれた、朝日向玲央の隣にようやく並べた。
その興奮が、するりと口から滑り落ちる。


「自分一人で決めないでよ。俺が好きならちゃんと話し合って決めさせろよ。
世間を騙すための結婚でも、その相手が女装したあの日の俺でも、誰にも玲央を渡したくないなって嫉妬するだろ。
自分に嫉妬なんて馬鹿馬鹿しい真似させんなよ、馬鹿レオ」


反論しようとする玲央の口内から、意地でも抜けない俺の指を甘く噛みながらこちらを見つめる瞳に微笑む。


「玲央は俺に言ったよね? 俺が抱えてるもの、全部寄こせって。
なのに玲央は俺にくれないの? それは違うでしょ? ねぇ、間違ってる?」

「……っ、」

「間違ってないよね?」


玲央が俺の手首を掴んだ。その力が想像よりも強くて負けそうになるが、俺は口内に収まる指で玲央の舌を引っ掻いた。ぎくりと揺れた肩に、つい笑みが深くなる。
手首を掴む玲央の手に本気の力を感じた俺は、ずるりと指を引き抜いた。途端、解放された息苦しさに呼吸する玲央の肩に手を添えて、迷うことなくその唇に食らいつく。
急な重みに一歩下がった玲央はそれでも倒れることはなくて。むしろこちらへ押し倒さんとするばかりの力で俺の後頭部を掴むと、その真っ赤な舌をねじ込んだ。


「んっ、はっ、はん、ふぁっ」

「……はぁ……っ」


互いの呼吸を奪い合うような、暴力的な舌の動きにどちらも引かない。唾液が交じり合う淫らな音をより際立たせ、舌と舌で貪りあう本能。
歯列をなぞられれば、俺はその下唇を噛み、唾液を流し込まれれば、玲央はその舌先をかじる。そこに理性などない。あるのは強烈な獣の性。
食うか食われるか、弱肉強食の悦楽。

掻き抱く互いの手が、無意識に繋がった。




 


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