×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

24 - 13



遅い朝食兼昼食を済ませ、お腹が満腹になったことで覚醒した頭がくるりと回る。室内のソファーに座りなにやら難しい顔をしてタブレット端末を操作する玲央に一言告げ、俺はスマホを手に二階へと上がった。
二階は開放感あふれた寝室があり、そこからつづくバルコニーは寝椅子やウッドテーブルが並んでいる。俺はパラソルで日陰となった三人掛けのソファーに腰を下ろし、つい数分前に届いていたメールを開く。
『聞いてないわ!』というアホなタイトルにつづく本文には『シローちゃんなら俺に任せろ! でも旅行なんて聞いてないよトラちゃんの馬鹿。お土産待ってます』というさらにアホさ満開な内容に笑みを漏らした。添付されていた酔っ払いと化す雄樹と志狼の姿にはさすがに苦笑が出てしまったが。
電話帳を開き、目当ての人物に電話をかける。相手は三コール目に出た。


『よぉ、電話して大丈夫なのか?』

「はい、おはようございます、仁さん」

『ははは、もう昼だけどな。おはよう』


電話の向こう側でバタンッという冷蔵庫の開閉音のような音が聞こえる。


「あの、今日のバイトの件なんですが」

『あぁ、玲央から聞いてる。三連休なんてよくやるなぁ、お前ら』

「え、三連休も……本当、すみません」

『いーって、いーって。旅行楽しめよ』


穏やかに笑う仁さんの声に目を伏せる。

テスト返却日の翌日にここへ連れてきてもらったと、はっきり認識したときからなんとなく思いついてはいた。恐らくずっと前から計画していた旅行のために、自分の休みはもちろん俺の休みまでしっかり確保していると、思いついてはいた。それを裏付けたのは俺が赤点を取るとは少しも思っていなかったと言ってくれた瞬間だが、その嬉しさに舞い上がっているだけでは駄目なこともよく理解している。


「最近休みがちだから、本当言い訳もできないんですけど……すみません」

『なぁ、トラ』

「はい」


とぷん、と瓶の中で揺らぐ水音のようなものが聞こえ、次いで喉の上下する音が鳴った。




 


しおりを挟む / 戻る