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24 - 12



頼んだ軽食セットが届くのは早く、広々としたウッドデッキテラスに並ぶ各種サンドイッチやミックスピザは、屋外の解放感も相まってとても美味しそうだ。
ガラスでできたジュースポットに満たされたオレンジジュースをグラスに注ぎ、玲央に手渡す。自分の分として注いだそれを口にしたとき、やっと一息つけた。

とにかく、今日はテスト返却日翌日であることに間違いはなく、このやたら広々としたリゾートホテルのような宿は、玲央が宣言した通り予約していたものなのだろう。
今朝起こされてから持たされた鞄の重さが曖昧なほど、ここに来るまでの記憶は正直あやふやだ。
パクリ。次いで口に運んだ野菜サンドの瑞々しさにほぅと息を漏らしてから、ゆっくり咀嚼した。

口に物を入れた安心感から宿の様子を思い返す。
一見すると日本らしからぬ建物内部は広い土地を活かした様に、部屋ひとつとってもゆったりとした造りである。くつろぐことを優先されたインテリアの多くは木の香りを漂わせ、窓から吹き抜ける外の空気に交じると落ち着きを感じた。あえてジャンルに振り分けるとするのなら、ここは南国リゾートホテルと認めざるを得ない全体的な雰囲気に、頭の中で桁外れの額が回る回る。


「テスト、赤点取るって思わなかったの?」


野菜サンドから垂れ落ちるバルサミコソースを指ですくって舐めとる。玲央はそんな俺に一度視線を向けたが、すぐ目前に広がる自然風景に視線を戻した。


「少しも思わなかった」


はっきりとした声音に唇が微かに震える。どうしよう、今きっと俺の頭はいつも以上に馬鹿になった。
残り一口となった野菜サンドをぱくりと放り込み、溢れる感情と一緒に飲み込む。


「ここ、すごく高そうだけど良いの?」

「お前はそんなこと気にしなくていい」


わざとらしく玲央のプライドを突いてみたら、それさえも分かり切った顔をして玲央が笑う。ついでと言わんばかりに髪をぐしゃぐしゃと乱されて、俺も嬉しくて笑ってしまった。




 


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