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好奇の視線が俺に集まる。無理もない。螺旋階段へつづく通りを学生シャツ姿の、しかも男がお粥なんて持って行くのだから。
俺がもし広い真ん中のその場所に立っていたのなら、間違いなく凝視する。なんだ、アレって。

居心地の悪い思いをして螺旋階段を上がり、できるだけ早くカシストへ戻ろうと決めた。

上がり終えたそこにはいくつものローテーブルとソファー、小さな丸イスなどが置かれてあり、下のダンスフロアよりも敷居の高い雰囲気が醸し出されている。
俺はすぐ隆二さんを探し、奥のほうで微笑んで待っている彼のほうへ近寄った。


「隆二さん、お待たせしました」


隆二さんは、二階のほうでも奥に位置された赤いソファーの真ん中に座り、両脇に可愛らしい女の子たちをはべらせていた。
その周りにはチームの者であろう不良たち。


「ん、ご苦労さま。びっくりしただろ? 下と違ってうるさくてさ」

「いや、そんなことは……」


話をしている場合じゃない。若干震えた肩を精一杯撫でおろし、お粥を置いた俺はすぐ立ち上がる。


「悪いな、ここまで持って来させて」

「いえ……あの、隆二さん」

「うん?」

「……悪いんですけど、ここに直接運ぶのはもう、できません」


俺がそう言った瞬間、言われた本人ではなく周りの不良たち、女の子たちが不機嫌をあらわにした。当の本人は涼しい顔で俺のほうを見ている。


「迷惑だった?」

「いえ、違います、そんなんじゃないんです。俺の私情っていうか、本当……すみません」


まるで言い訳をしている気分になり、少しずつ俯いていく。
そんな俺に刺さる視線の数が怖くて、ぐっと拳を握った。


「とにかく、失礼、します」


これ以上ここにいることはできなくて、俺は強制的に背を向けた。
隆二さんが俺を呼ぶ声を聞いた気もしたが、それどころではない。

すぐ螺旋階段のほうへ駆け寄って、霞んできた視界で下っていく。

なのに、なんでだ。




 


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