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「そうして妻の事件を境に、事実を知った兄と弟はお互いに依存し合い、今もなお、二人だけの世界で苦しんでいる。
……馬鹿だよねぇ、可愛いよ、最近の若い子はさぁ」

「……」

「まぁ、これがはじまり。これが司と豹牙くんのはじまりだ。そしてあとは君も知っての通り、俺らに捕まった司は公正な取引として警察にどんな情報も流す……んー、中ボス? みたいなものになったってわけだ」


真面目な雰囲気から一転して、お茶目に笑う男に若い男――仙堂と呼ばれていた――がすかさず「今時風に言ったつもりで滑ってますよ、新山さん」と突っ込んでいる。


「いやぁー、最近の若い子なんて話す機会もないからさぁ、若い言葉とか分かんなくってごめんなー? あははははっ!」

「……」

「あれ? 無反応? するー?」

「……」


あえて口を閉ざす。いささか睨んでいるだろう俺を見つめる男はニカッと笑う。


「じゃあ話の続きを聞かせよう。
そんな司が作ったブラックマリア、これがまた街をうろつく若者に人気でねー。確かに大規模な喧嘩やらなにやら騒動は起こしてくれたけど、おかげで悪い子たちは大抵把握することはできたよ。
司を怨む奴もまぁいたけど、そーんな悪い子たちにはちゃんと釘を刺してたし、そういう意味では褒めてあげたいくらいだよねぇ。
で、君のお兄さん。朝日向玲央、だったね。彼がまたすごくてねー」


玲央という単語にピクリと反応する俺を目ざとく気づいた新山さんは嬉しそうに口角を上げた。


「君のお兄さん、ね。モデルとしてもそうだけど、悪い子たちにもそのカリスマ性ってやつ? 発揮しちゃってたみたいで、まーすごい。歴代の中で一番規模のデカいチームとして瞬く間に名を轟かせちゃったー」

「……」

「なにより一番すごいのは、麻薬組織の一人、ノアを釣っちゃったことだねぇ」

「え?」


ついに反応を示した俺に、男はニタァと嫌な笑みを浮かべながら肩を震わせる。




 


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