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チカッ、チカッ、とライトの光を点滅させながら、目の前の男は俺を真っ直ぐ見つめたまま微笑んでいる。
任意同行として警察署に連れてこられ、これまたドラマで見るような閉鎖的な一室に訪れて二時間弱、この状態がつづいていた。


「……あのぉ、」


チカッ、チカッ。
俺が話しかけても微笑むだけの男は、見覚えのある銀フレームの眼鏡をかけていた。
それがこのどうしようもない時間から脱するための妄想として、頭の中で司さんを思い浮かべてしまう。

チカッ、チカッ、チカッ、チカッ。


「あの、眩しい……です」


チカッ……チカッ、チカッ。

俺の訴えも虚しく、男はやはり微笑んだまま、ライトの光を点滅させていた。

――ダンッ!!

と、そんなとき、壁の向こうから大きな衝撃音が聞こえる。つづいて遠慮のない扉の開閉音が聞こえたかと思うと、数人の足音が遠ざかって行った。
しばらくして、若い男性が一人部屋に訪れる。


「さて、朝日向小虎くん」

「へ?」


パタン。若い男性が扉を閉める音を耳にしたであろう瞬間、目の前の男がゴンッと音を立てながら机の上に額をつけた。
思わずギョッとする俺を、若い男性が苦笑を浮かべて頷いている。


「ほんとーに申し訳ない! こんなむさ苦しい場所に君を連れてきてしまったこと、素直にお詫びします」

「え? あの、あの? え、え?」


困惑して男性と若い男性を交互に見る俺に、がばりと起き上がった男性がぐわしと両手を掴んで来た。


「いやぁ〜話すと本当に長くなるんだけど聞いてくれる? あ、てか聞いて貰わないと君の状況が分からないと思うんだけどまぁとりあえず聞いてくれ。あ、仙堂、小虎くんにお茶出して、お茶。俺には砂糖たっぷりコーヒーで」

「なに言ってんですか新山さん、このあいだコーヒーぶちまけてここで飲食禁止食らったでしょ」

「あれ? そうだっけ? だいじょーぶ、大丈夫、仙堂と小虎くんが黙ってればバレないから。あははははっ!」


……え、えぇー?




 


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