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「さぁさぁ二人とも、お墓のお掃除をしましょうね」


ゆっくり歩いてきた祖父と祖母は、お墓の前で待っていた俺たちにホウキとバケツを差し出した。
まずは掃き掃除から。そう言う祖母に促され、母さんの眠るお墓の周りをホウキで掃く。竹ボウキの独特な音が辺りに行き渡る。なんだか少し、楽しい気持ちだ。
そのあと、水を絞ったタオルで墓石を丁寧に拭いた。まだ新しい墓石は日の光を受けて輝いている。

そうして掃除が終わると、祖父が用意していた線香に火をつけてくれた。


「はい、小虎くん」


線香を受け取り、墓石の前に歩み寄る。
立てるべきなのか置くべきなのか分からず固まっていると、うしろから手を伸ばした玲央がしれっと線香を置いてしまう。
とりあえず同じように線香を置いて、小さな階段を下りた。


「さぁ、挨拶していきましょう」


同じように線香を置いた祖父と祖母が、並んで手を合わせる。
やはりまた、俺は真似をして手を合わせておく……なにせ墓参り自体、はじめての体験なのだ。

えーと、挨拶ってどうするんだ?
とりあえず頭の中で思い描けばいいのかな?

ちらり。参考にしようと盗み見た玲央の姿に、思わず息を飲む。


「……」


どこか真剣で、少し硬い表情。なにか難しいことを考えているみたいに、口は強く結ばれている。


「……」


この人が、俺の兄。金色に染めた髪と、皆が放っておかない容姿を持つ、同じ血を分けたとは思えない、たった一人の兄弟。
不器用で真っ直ぐで、しゃんとしていて自己中心。なんだかとっても矛盾だらけのくせに、不思議と大きくて、側にいると幸せになる。




 


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