賑やかな夕食を過ごしたあと、一番風呂を頂いた俺は縁側でのんびり夜風にあたっていた。
祖父はノートパソコンでなにか仕事をしていて、祖母は後片付けを済ませたのに台所でなにかをしている(手伝うと言うとまた断られた)。
キーボードを叩く音と、時折台所から聞こえる音が耳に心地いい。
ゆったりとした時間に思わず舟を漕いでいると、頭の上を軽く小突かれた。
「いてっ……玲央?」
「ん」
痛みにうしろを振り向くと、そこには風呂上りで上半身裸の玲央が、スイカを食べながら別のスイカを俺に差し出している。
「ババアからだ」
「ん、ありがと……」
黄色いスイカを受け取ると、玲央はそんな俺の横にドカッと腰を下ろす。
というか……
「服着なよ」
「まだ暑い」
なんとも、まぁ。
家ではけっして見ることのない年相応……ではないけれど、孫として寛ぐ玲央の姿はなんだか可愛い。
けして素直ではないのだけど、祖父と祖母に甘えている玲央を見ていると、なんだか面白くてしようがない。
「んだよ」
「いーえ、なんでもー」
思わずクスクス微笑む俺の横で、玲央が若干ふて腐れたようにスイカをかじった。
「トラちゃん、トラちゃん。良いものがあったわよ」
「ふ?」
玲央と並んでスイカを食べていると、なにかを抱えた祖母が俺たちの近くまでやって来た。
その正体に気づいた玲央が珍しく慌てた様子でスイカを食べる手を止めた。
「おい、ババアっ」
「なぁに? レオちゃん?」
「……っ」
にっこり。ただ微笑んでいるだけなのに、祖母からの威圧がすごい。あの玲央を圧倒している……。
勝ちましたと言わんばかりのいい笑顔を浮かべた祖母が、抱えていたそれを俺たちの前に広げた。
「……わぁ……っ!」
それは、俺と玲央の幼少期のアルバムだった。
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