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「一緒に寝てやろうか?」

「ぶふっ!?」


やはりしょっぱい玲央お手製のオムライスを食べ終えたあと、向かえ側に座るやつがニヤニヤしながらそう言った。
大袈裟なリアクションをする俺に目もくれず、やつはまだニヤニヤと笑っていやがる。


「な、なに、突然……」

「いや、昔のこと思い出してな。お前よぉ、よく俺と寝てぇ寝てぇ言っててよ、ダメだっつっても気付いたときに寝てんだよな、隣で」

「……そう、だっけ?」

「あぁ、そうだよ」


くくっ。喉を鳴らして笑う獣に、顔を赤くしながら見とれてしまう。
これほど感情豊かなときを見てきただろうか、いいや、ない。
優しい玲央も、微笑む玲央も、今まで見てきたどの玲央でもない。


「おいおい、冗談だぞ? 笑って流せよ、そこは」

「う……、ちが……」

「あん? じゃあなに、俺と寝てぇの?」

「……や、それはそれで、キモイだろ」


想像して望む反面、絵面的にありえなくてげんなり。
そうかい。そう言った玲央が食器を片付けてしまう。
そのまま洗い物をはじめた玲央にそわそわとした視線を送るが、やつの視線は洗い物しか見ていない。

このまま素直に言ってしまうのもなんだか癪で、だけど素直になりたい自分がイスから離れない。

洗い物を終えた玲央がタオルで手を拭いている。
きっとそのままソファーにでも行って、煙草でも吸いながらテレビを見るのだろう。
踏ん切りがついて立ち上がった瞬間、ドアの開く音がした。

見上げた先には、自分の部屋を背にして腕を組み、壁に背をつけ微笑む玲央の姿。


「馬鹿トラ、これが最後のチャンスだぜ? さぁ、どうする?」

「――……っ!」


やはり、玲央には敵わない。
どんなに虚勢を張ったところで、玲央にとってそれはただの威嚇と一緒で、蚊に刺されたようなものでしかないのだろう。

でもな、玲央。蚊に刺されたあとってのは、結構面倒だろ?
俺もな、それと一緒なんだよ、知ってるだろうけど。

俺は得意げに笑う玲央のほうへ駆け寄り、そのままその体に抱き着いた。
なんてことない態度で玲央が俺を抱き上げる。呆然としている間もなく、ベットへと落とされた。

すぐに横へと玲央が倒れて、腕枕なるものをされてしまったときにゃあ心臓が破裂するかと思ったね。


「れれ、れお、玲央。あの、腕枕はその、どうなんですかね!?」

「うっせー。黙って寝ろ」


ぎゅむ。厚い胸板に顔を押し付けられて、ドキドキと心臓が痛い。
それでも嗅ぎ慣れた玲央の香りに落ち着けば、睡魔はすぐにでも現れた。

ぎこちない手つきで玲央の服を握る。


「玲央……ありがと…………好き」

「知ってる」


ふぁあ。欠伸をした玲央が俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
そのまま微笑んで目を瞑れば、夢の世界はすぐそこにあった。




 


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