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「しっ、しかたねーから、なっ、なって……ください」

「うん、ありがとう」


ニッコリ。微笑む志狼の姿はやはり、同い年とは思えない。
隣でため息をつく仁さんが俺の頭を撫でてきた。見上げれば「良かったな」なんて言われてしまうし、もうなんだかなぁ。


「ねぇ小虎、バイトはいつ休み? 一緒に遊びに行こうよ。俺、まだこの街よく分かんないから案内して」

「……いい、けど」


どうしよう。新たな友達誕生に照れてしまう。
あー、なんでだよ、雄樹のときは照れなかったくせに、クソッ! クソッ! 沈まれ俺!

……やばい、俺、馬鹿だ。


「えーと、次は水曜」

「じゃあ木曜空けといて。昨日家まで送ったから、今度は向かえに行く」

「え、でも」

「いいから。俺、バイクあるし」

「バイ……」


高一でバイクですか、贅沢ですね志狼さん。
あの雄樹ですら徒歩だぞ、電車だぞ。あ、いやでも雄樹はそういうのこだわらないしなぁ。


「分かった。だからお粥食え。冷めるだろ?」

「うん、了解」


ニコリと微笑む志狼がお粥に手を伸ばす。
あーあー、口がニヤけるぞ俺ー。おさまれー、おさまれー。

そんなことを思っていれば、隣にいる仁さんが笑いを堪えながら頭を撫でてくる。この人には本当、敵わない。


「ん、すげー美味い。これなら小虎、いつ嫁に行っても恥ずかしくないね」

「おい、なんで嫁なんだよ」


アホの雄樹かと、一瞬見紛うた。




 


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