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それから雄樹は俺とどれくらいダチかということを身振り手振り説明し、志狼は志狼で文句も言わずに相槌を打つ。などと妙な光景がカシストにはあった。
兄貴がデスリカに戻ってから客足は以前と同じ……少しは増えたが、それでもお粥や仁さんの料理目当てに……中には雄樹のフリルエプロン姿を見に来ては一緒に写真を撮る強者までいる。
そんな客がいるカシストで、雄樹と志狼はまるで兄弟のような雰囲気をさらし、可愛い顔をした雄樹と綺麗な顔をした志狼の姿だからだろう、みながみな、呆然と見つめている。


「はい、お粥」

「ありがとう」


だけどちょっと、なんか寂しい。というか、ムカつく。
雄樹のダチは俺であって、志狼と最初に出会ったのも俺であって、それなのに二人が俺以上に仲良くなっている様を見るのは……とても不本意だ。

だからだろうか。お粥を出したとき、少しだけ乱暴な渡し方をしてしまったのは。


「おい雄樹、話してねーでこれ運べ」

「はーい」


仁さんも目の前で恋人が他の男と仲良くしているのが面白くなかったのだろう。どこかイラだった声音でナポリタンを雄樹に渡す。
アホはアホなので気づいていないのだろう。嬉々として運びに行ったぞ。


「雄樹って面白い子だね」

「あ? あ、あー……まぁな。俺のダチだもん」

「うん、羨ましい」

「……」


思わず言い淀む。なんだか一人で勝手にイライラしていた自分が恥ずかしい。
志狼も雄樹も、純粋に楽しいから話をしていただけなんだよな。分かってる、分かってはいる。


「……志狼って」

「うん?」

「……いや、やっぱなんでもない」

「ねぇ、小虎」


なのにそんな俺に柔らかな笑みを浮かべて、志狼は言った。


「俺とも友達になろ?」

「……へ?」


自分の耳を疑った、が、顔が真っ赤に染まっていくのを感じてしまえば、もう否定なんてできやしない。




 


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