告白
ざわざわと騒がしい昼休み、教室に入ろうとする私を呼び止めたのは可愛らしい他クラスの女の子だった。
「あの、国見くん…、を、呼んでくれませんか」
俯きがちにもじもじと言われた内容にすぐピンときた。告白だ。
「ちょっと待っててください」
そう答えて急いで国見くんの席へ向かう。すでにお昼を済ませた国見くんはイヤホンをして椅子に脱力して座っていた。普段窮屈そうに机の下にしまっている長い足を投げ出している。
「国見くん」
とんとん、と肩を叩くと、国見くんがイヤホンを外しながら「なに」と聞いた。
「国見くんのこと呼んで欲しいって頼まれたの」
そう言って彼女を指差すと。彼の視線が彼女を捉える。そして、一瞬舌打ちでもしそうな顔をして「はぁ…」とダルそうに立ち上がった。ゆっくりとした足取りで彼女の元に行くと、言葉を交わした二人はどこかへ移動していく。
告白にあんな嫌そうな顔するんだ、とびっくりしてしまった。モテる人からしたら面倒なことなのかもしれない。私には一生分かりそうにもない感情だった。
「苗字、今後ああいうの取り次ぐなよ」
思ったよりも早く戻ってきた国見くんは、つかつかと私に歩み寄ってそう言った。
「えぇ、それって私どの立場でモノ言ってんのってなるじゃん」
自分で断ってよ、と首を横に振る。一瞬押し黙った国見くんは「…そんなのなんでも適当に言えばいいだろ」と言って席に戻りまたイヤホンをつけた。ご機嫌斜めみたいだ。
その日の放課後、帰る途中で体育館の外に出て涼んでいる国見くんと部活の人たちを見かけた。夕方にもなれば外の風も多少涼しい。ふと、国見くんと目が合ったので「国見くーん!」と大きく手を振ってみた。
すると、周りの先輩らしき人たちがにやにやと彼を小突いたりなにか声をかけている。それが気に入らなかったのか、国見くんは私に返事をせずプイと顔をそらした。
声かけるタイミング間違っちゃったなぁ、と私もそそくさとその場を後にした。
その日の夜、国見くんから「今日のあれ、無視したんじゃないから」とメッセージが来た。意外に思いながら「気にしてないよ」と返信する。
すると愛嬌のあるネコがOKと言っているスタンプが送られて来た。国見くんもこういうスタンプ持ってるんだなぁ、と、とりあえず私もネコのスタンプを送り返した。
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