感謝の気持ちを 時間旅行で使ったエネルギーの消費で疲れを感じ、 ソファーに座っていたタイム。 そんな彼にお疲れ様であります、と言いながら、アイスは二本持っていた内の一本のE缶を手渡した。 彼はそれを受取ると、目を伏せてアイスを見つめた。 ほんのりと頬を赤く染めながら、アイスは天使と例えても過言ではない、穏やかで優しい笑顔を見せる。 彼の隣にゆっくりと腰を下ろすと、E缶を飲み始めた彼に続くようにアイスもE缶を口元へと運び、飲み始める。 彼も今日は仕事が長引き、タイム程ではなかったが遅い帰りを迎えていた。 二体の全身にエネルギーが満ちていくのを感じる。 疲れが取れていくのがはっきりと感じられた。 ふとタイムがE缶を側にあったテーブルへと置く事に気付いた時、アイスの視界は途端に暗くなった。 同時に感じられる、暖かな温もり。 アイスは、タイムに抱きしめられていた。 それを認識すると、高鳴り始めるお互いのコア。 E缶を持つ手が弱まり落としそうになったが、何とかそのままで彼の温もりを感じる。 「タ…イム…?」 「……アリ、ガトウ……」 「え……?」 ありがとう、その言葉がタイムの口から出る事は珍しい事だった。 小声で言うことが多く、はっきりと聞き取れる事は数少ない。 アイスの聴覚機能はその言葉をいつの時もしっかりと聞き取っていたが、彼の言葉に驚きを隠せずにはいられなかった。 「いつも…感謝、してる」 抱きしめる腕に力が込められる。 それを感じながら、アイスは目を閉じた。 タイムのコアの音が聞こえるような気がした。 「こちらこそであります。いつもありがとうございます、タイム…」 お互いが愛しくてたまらなくて、長い時を一緒にいることが出来て。 時には喧嘩もし、仲直りをしては深まる仲。 どんな時も支え合って来た。 その事に、ありがとう、と。 特別な日でもなんでもなかった。 ただ、感謝している事を伝えたかったのだ――ありがとう、と。 アイスの感謝の言葉に応えるように、彼の唇に落とされるタイムのキス。 触れるだけの、短いキスだった。 この先も、二体は支え合って生きていくのだろう。 時に愛を確かめ合い、時に喧嘩をし、何があろうと離れることなく。 二体が微笑みあう姿を、電灯の明かりが優しく包み込んでいた。 *** 3月9日、ありがとうの日に浮かんで書いていたものです。 ふとした時に、いつもありがとうって言葉にしたくなるような…そんな二人な感じです´`* 2015/03/11 [*前]【TOPへ】[次#] |