王様げーむ (3/4)




「「「「王様だ〜れだ!」」」」



皆で声を揃えて言った掛け声。このゲームの、お決まりの台詞。
それに応えたのは……。



「……愛です」

結がぽつりと呟いた。



「え?結ちゃん……?」



「あなた方はもっと愛について知る必要があります!」

皆人がうつむいている結の顔をのぞきこむと。がばっと顔を上げ、とても熱く語り始めた。
その結の表情は普段のそれとは異なっていて。
そして、言動もおかしい。

今の彼女の意識は、結が機能停止となった時に現れた、結女という存在のものだった。


服ーーちょうど帯の辺りが布地越しに光り、No.08と見えるような気もする。

「5番の方!」

「はいぃ!」


王様ゲームをやっている、ということはわかっているらしく番号で指定してきた。
当たったのは皆人で。

「結を任せるにはまだまだ愛が足りません。今夜は寝かせませんよ」
にこっと微笑んだかと思えば、急にキリっと真剣な顔になり話し始める。

「そもそも愛の語源はですね……」


「み、みなたん頑張るです〜」

「あら、お酒なくなっちゃった。もう一杯飲みに行ってくるわぁ」

「ねーねーふーちゃん、"あい"っておいしい?」

「汝!寝かせないとはなんじゃ!ミナトにべたべたくっつくでない!」

「No.08……か」


口々に皆人への激励の言葉(一部違うものもあるが)を掛けて去っていく。
皆、今の結……否、結女には関わりたくないようだ。



その後、東の空が明るくなるまで結女の講義、もとい説教は続いたという……。



(2010.07.03-2010.12.31 拍手お礼文)







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